参政党の神谷宗幣参議院議員は、令和7年6月2日付で「ハーバード大学の留学生受入れに係る安全保障上の懸念に関する質問主意書」を政府に提出した。今回の主意書は、アメリカ政府がハーバード大学の留学生受け入れ資格を停止したことを受け、日本国内でも外国人留学生の受け入れ体制や安全保障上のリスクについて議論が高まる中で出されたものである。
アメリカでは2025年5月22日、国土安全保障省がハーバード大学の留学生受け入れ資格を停止すると発表し、世界中で大きな波紋が広がった。ハーバード大学側はこの措置を「違憲」として提訴し、翌23日にはボストン連邦地裁が一時差し止めを命じたが、外国人学生を巡る安全保障上の議論は続いている。
神谷議員の主意書では、アメリカがハーバード大学等の外国人留学生、特に中国共産党との関連が疑われる中国籍の学生に対してビザ発給制限や強制退去措置を行った背景について政府の見解を問うている。また、日本が外国大学出身の外国人研究者を受け入れる際、「千人計画」などの国家的計画への関与や安全保障上のリスクについて、どのような情報共有体制やリスク評価が行われているかを具体的に質問している。
さらに、現在の高度人材ポイント制や在留資格制度において、国家安全保障や研究成果の軍事転用防止の観点からどのような審査が行われているかも問われている。加えて、外国人研究者の所属機関や母国との関係性(例:中国人民解放軍や中国科学技術部との関係)を踏まえたリスク評価の方法や、その法的根拠についても政府の説明を求めている。
主意書では、米国やオーストラリアが導入している安全保障上のセキュリティークリアランス制度の日本での導入についても政府の見解を求めている。これらの質問は、日本の大学や研究機関が今後も国際的な学術交流を進める中で、どのように安全保障とバランスを取るべきかを問うものとなっている。
現時点で政府からの正式な答弁は出ていない。
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