かつて人権をも封じ込めた中国のゼロコロナ政策が……。その「亡霊」が今、再び姿を現した。新疆の高速道路に出現した白い防護服姿の作業員・通称「大白(ダーバイ)」、そして上海で封印された運転席が、国民の脳裏に、あの3年間の悪夢がよみがえってきた。
6月16日、新疆ウイグル自治区アクス市の高速道路料金所に、全身白の防護服をまとった作業員たちが出現した。あれは、そう、かつて「大白(ダーバイ)」と呼ばれたゼロコロナ政策下の象徴的存在であった。SNS上に投稿された映像には、車両をチェックする2人の姿が映し出されており、これを見たネットユーザーからは「見間違いであってほしい」「またあの地獄が始まるのか」と恐怖の声が噴出した。
この「ゼロコロナ再来か」との疑念を強める現象は、他の地域でも相次いでいた。広東省広州市では5月、小中学生が再び「自宅隔離」を命じられ、保護者からは「3年前と何も変わっていない」との嘆きが上がった。
また上海では同月、建設現場に停車中のトラック運転手が「感染防止措置」として、車内に封印される様子を自撮り動画で公開し、運転席のドアには「下車厳禁」と記された封印シールが貼られ、ネットには「政策が人を閉じ込める」ことへの怒りが広がった。
「終わったはず」のゼロコロナ対策が、形を変えてじわじわと戻ってきているのだろうか。大白の出現は、単なる一時的対応か、それとも再び始まる管理社会の「前触れ」なのか……。
「あの姿」が再び現れることで、国民の間に再燃するのはウイルスへの恐怖ではない。ウイルスよりも怖いのは政府のウソであった。


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