激変する中国 爆買いの勢いはどこに

“熱狂”は戻らず 「618商戦」に見る中国消費の変化

2025/06/21 更新: 2025/06/21

かつて「爆買いの祭典」と呼ばれた中国の「618商戦」。

日本の「楽天スーパーセール」や「Amazonプライムデー」に相当するこのECセールは、今年史上最長の39日間に拡大され、取引総額は前年比15.2%増の8556億元(約17兆円)と過去最高を記録した。

だが、現場の熱気は明らかに冷めていた。かつては爆発的な売上を牽引していたライブ配信の熱気は失われ、人気配信者の登場は激減し、ライブ配信の視聴数も低迷。物流現場にも静けさが広がっており、「今年は残業はほとんどなかった」と語る配達員も多い。

今年は従来の複雑だった割引制度を撤廃し、直感的な価格引き下げに移行したが、消費者の購買意欲は戻らなかった。どれだけ値下げしても「今すぐ買わねば」という空気は戻らず、「いつでも買えるなら今は買わない」と合理的な判断を優先する消費者が多いという。

背景には、不動産不況、就職難、所得の伸び悩みといった経済不安がある。若者を中心に「本当に必要なものだけを買う」という合理的な志向が広がり、衝動買いは激減した。

売上記録の更新という「数字の勝利」の裏で、消費者の心はすでにこの年中行事から離れつつある。売上記録を更新しても、そこに熱狂がなければ「祭り」はただの販促に過ぎない──今の「618商戦」は、そんな虚しさを映し出す鏡となっている。

中国の消費文化は、今まさに大きな転換点を迎えている。
 

「618商戦」のイメージ(スクリーンショット)
李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
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