ゼレンスキー大統領「中国企業がロシアの兵器供給網に関与」

2025/06/25 更新: 2025/06/25

ウクライナのゼレンスキー大統領は25日、NATO首脳会議の防衛産業フォーラムで演説し、中国企業がロシアの戦争継続を支える国際的なサプライチェーンの一部になっていると指摘した上で、NATO加盟国に対し、ロシアに協力する企業や団体との取引を断ち切るよう呼びかけた。

「皆さんの国や企業が、ロシアあるいはその「仲間」を支援していないか、確認してほしい。それは本当に重要なことだ。現在使われているロシアの兵器で、外国の部品や設備、素材を使わずに製造されたものは一つもない」と強調した。

ゼレンスキー氏はさらに、ロシアが戦争を継続できている背景には、国家および非国家主体から成る「ネットワークの存在」があるとし、次のように述べた。

「このネットワークにはロシア、北朝鮮、イラン政権、中国企業、そして世界各地のさまざまな仕組みが関与しており、武器の製造やウクライナ・ヨーロッパへの攻撃に加担している」この構造を断ち切るため、各国に協力を呼びかけた。

ゼレンスキー氏によれば、ロシアのミサイルや多くのドローン、軍用車両には、外国製の部品が使用されており、「中国だけでなく、台湾、ヨーロッパ諸国、アメリカからも部品が流入している」と述べた。「ロシアの防衛産業に届けられるすべての部品や工作機械は、戦争の長期化につながるものであり、平和への犯罪だ」と訴えた。

中国共産党(中共)によるロシア支援の疑いは今回が初めてではない。2025年5月、ウクライナの軍事情報機関のイヴァシチェンコ副長官は、中共政府が機械加工装置、特殊化学品、火薬などの部品をロシアの20の兵器工場に供給している「確認済みの情報」があると発表していた。また、2025年初頭時点で、ロシアの無人機に使われている重要な電子部品の約80%が中国製であると報告されている。

さらにウクライナ政府は、ロシアの短距離弾道ミサイル「イスカンデル」の製造に関与していたとして、2024年4月に中国企業3社を制裁対象とした。

こうした疑惑について、中共は一貫して関与を否定している。

ロシアとウクライナの戦争が2022年2月に本格化して以降、西側諸国は巡航ミサイルや無人機の製造に必要な物資の流入を制限するため、ロシアに対して広範な制裁を科してきた。しかし、ロシアは複雑な闇市場ネットワークを通じて一部の物資を調達し続けており、中国もこれに関与しているとされる。

軍事面での直接支援を否定する一方で、中国の石油精製企業は西側諸国の制裁を逆手に取り、ロシア産原油を割安価格で大量に購入している。米エネルギー省の分析によれば、2024年には中国のロシア産原油輸入量が1日あたり220万バレルに達し、これは中国の総輸入量の約2割を占めた。

ゼレンスキー氏は今回の演説で、「ロシアは原油収入を軍事資金に充て、北朝鮮やイラン、各国に広がる“腐敗したつながり”を通じて戦争物資を調達している」と述べ、「私たちの結束こそが、ロシアの戦争ネットワークに対する最良の対抗策だ」と訴えた。

「防衛分野におけるさまざまな協力に前向きだ。特にウクライナを最も支援してくれている国々とは、技術や知見の共有も可能だ」と締めくくった。

 

Bill Pan
エポックタイムズ記者。教育問題とニューヨークのニュースを担当。
関連特集: 欧州・ロシア