TikTokとMeta 「地下鉄サーフィン」死亡事故に対応迫られる

2025/07/03 更新: 2025/07/03

ニューヨークの15歳少年、ザカリー・ナザリオさんが「地下鉄サーフィン」と呼ばれる危険なチャレンジに挑戦し死亡した事件をめぐり、母親がMeta社とTikTok社を相手取って起こした訴訟は今後も継続されることとなった。ニューヨーク州最高裁判所のポール・ゴーツ判事は7月1日、両社が求めていた訴訟却下の申し立てを退けた。

この訴訟は、母親のノーマ・ナザリオ氏が、MetaやTikTokなどのSNSプラットフォームが自社のアルゴリズムを使い、息子ザカリーさんに危険な「地下鉄サーフィン」動画を意図的に推奨し続けたことで、悲劇的な死につながったと主張しているもの。

2024年2月20日、ザカリーさんはニューヨークのJ線地下鉄車両の屋根に登り、人気のチャレンジ動画を模倣しようとしたが、走行中の列車がウィリアムズバーグ橋を通過する際、低い梁に頭をぶつけて転落し、列車に轢かれて死亡した。

事件後、母親は息子のSNSアカウントに複数の「地下鉄サーフィン」関連動画が表示されていたことを確認。MetaとTikTokがこうした危険なコンテンツを制限せず、むしろ未成年の息子に積極的に推奨していたと指摘し、両社を提訴した。

MetaとTikTokは、米通信品位法(Communications Decency Act)第230条や憲法修正第1条(言論の自由)を根拠に訴訟の却下を求めていたが、ゴーツ判事は「原告の主張は十分であり、動画はザカリーさんの年齢を考慮して意図的に推奨された可能性がある」と判断。今後も審理は続くこととなった。

Meta社の広報担当者は「判決には失望しているが、これが事件の本質を示すものではない」とコメント。危険行為を助長する動画はポリシー違反であり、発見次第削除していると強調した上で、今後も訴訟で積極的に弁護していく姿勢を示した。

高杉
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