激変する中国 「公開裁判なのに、なぜ入れない?」

中国の「公開裁判」は名ばかり

2025/07/04 更新: 2025/07/04

6月下旬、上海市内で、政府による不当な扱いを訴える市民(陳情民)による裁判が相次いで開かれた。しかし「公開裁判」とされながらも、傍聴を希望して集まった多くの市民は裁判所の門前で締め出され、現場には、大勢の公安が傍聴希望者を監視するという異様な光景が広がった。

憲法で保障されているはずの公開裁判の原則は、実際には形骸化し、集まった市民たちの間に強い不信と怒りが広がった。

特に注目を集めたのは、秦義栄(しん・ぎえい、女性)氏の健康被害に関する民事裁判である。2003年に、秦氏は自宅を不法に取り壊され、当時の裁判官・劉亮(りゅう・りょう)によって、不当判決を受けたが、控訴の末に逆転勝訴した。しかし、それ以降、劉亮から報復として暴行や嫌がらせを繰り返し受けてきたと訴えた。頭部を殴られて縫合、歯を折られ、流産、視力障害、夫の死に至るまでの深刻な被害を受けたが、劉亮は現在に至るまで一切の責任を問われなかった。

この日の傍聴を希望して集まった20人以上の市民のうち、入廷を許されたのはわずか7人だった。門前で拒まれた市民たちは、「これでは公開裁判とは言えない」と口々に憤った。

本紙の取材に応じた市民活動家の宋嘉鴻(そう・かこう)氏は、「裁判の公開は憲法で保障された権利だ。なのに、司法の現実は逆行している」と強く非難した。

法廷とは本来、市民すべてに開かれるべき場所である。しかし今の中国では、「公開」という言葉は、もはや意味を成さない。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
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