中共軍高官の粛清が加速 内部情報筋が実態を明かす

2025/10/31 更新: 2025/10/31

中国共産党当局による軍部高官への粛清が続いている。複数の関係者や海外メディアの報道によれば、現役上将のうち約4割がすでに軍紀委の調査を受けており、多くの案件が今後、軍事検察や軍事法廷で審理される見通しである。

権力構造の再編が進む

今回の取り調べは、2023年以降続く軍内の紀律検査と人事刷新の延長線上にあり、ロケット軍や戦略支援部隊、装備開発部門の高級幹部らが相次いで捜査の対象となっている。

全国人民代表大会常務委員会は10月28日、張昇民を中央軍事委員会副主席に任命し、前副主席何衛東を免職とした。軍内の権力構造が再び大きく変化を見せた形である。

軍事情勢に詳しい関係者によると、10月20~23日の4中全会を欠席した現役上将のおよそ4割がすでに軍事紀律委員会の取り調べを受けており、多くは軍事法廷へ移送される見通しだという。

忠誠を重視した粛清

内部事情に詳しい人物によれば、高級将官の審査を主導しているのは張昇民であり、この2年間で彼の下による軍内の整頓が加速しているという。
軍事司法制度に詳しい関係者は「審査を通過しても、多くの将官は指揮職を外されるか、退役を余儀なくされている」と語った。

軍内部では、「忠誠」と「規律」を重視した粛清であるとの見方が広がっている。今期全国人民代表大会の軍代表のうち、すでに22人が資格を剥奪された。資格を失った者は軍内の職務からも解かれ、その後、軍事法廷に送られる例が多いという。

学者「軍権集中の象徴」

北京の学者は「中国共産党(中共)の中央軍事委員会と国家軍事委員会は名義上は異なるが、実質的には同一の組織である。党と国家の一体化によって軍権を一元的に掌握している」と指摘する。
その上で「この構造は今後、他の領域にも拡大する可能性がある」と述べた。

一方、軍事専門家は「今回の粛清は汚職の問題というよりも政治的忠誠の問題である」と分析する。さらに「汚職行為は昇進以前から把握されているものの、最終的な粛清の決定要因は政治的態度にある」と述べた。

粛清が制度化の段階へ

公表情報によると、これまでに李玉超、周亜寧、丁来航、李尚福、苗華、王春寧、袁華志らの上将が失脚した。軍関係者によれば、今回の粛清は2014年の郭伯雄・徐才厚事件以来、最大規模になるとみられる。

複数の国際メディア(ロイター、フィナンシャル・タイムズなど)も、中共が軍紀律委員会審査を通じて軍の構造再編を進め、粛清を政治的再集中の手段として利用していると報じている。

軍内の消息筋によれば、「装備調達や資金の流れ、ロケット軍関連の資金問題」に関する案件が多く、今後は賄賂受領などの罪で正式に起訴される見込みだという。

専門家らは「中共はこれまで政治運動として行ってきた軍内粛清を、制度的な懲戒体系に転換し、中央最高層による軍権の恒久的な支配体制の構築を目指している」と指摘している。

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