「50歳前後の不審死急増」発言 厚労省は事実確認できず

2025/07/10 更新: 2025/07/10

令和7年7月8日、厚生労働省で福岡資麿大臣による定例記者会見が行われた。この会見で、記者から「50歳前後の不審死が急増している」との武見敬三前厚生労働大臣のYouTubeでの発言について、厚生労働省として事実を把握しているかどうか質問があった。

(提供:たけみ敬三Youtubeチャンネルスクリーンショット)

福岡大臣は、武見前大臣が「介護離職をする人たちが増え、その負担が増している。孤立死・孤独死は高齢者だけの課題ではなく、両親を介護している50歳前後の方々の不審死が急増している」と発信していることは承知しているとした。しかし、この内容については「私からコメントすることは差し控えさせていただきたい」と述べた。その上で、「不審死」といった死亡数については、厚生労働省の人口動態統計においては把握していないと明言した。

さらに記者から、「介護で苦しむ方々が不審死をしているという情報は厚生労働省にあるのか」との質問があった。これに対しても福岡大臣は「武見さんがどのような真意でこの言葉を発しているか定かではないため、その内容についてはコメントを差し控えさせていただく」とした上で、「両親を介護している方々の不審死が増えているという情報は持ち合わせていない」と明確に述べた。

武見前大臣のYouTube発言については、6月12日に「50歳前後の方々の不審死が急増していることが分かってまいりました」と述べていたことが複数のメディアやSNSでも取り上げられているが、現時点で厚生労働省として公式な統計や根拠となるデータは存在しない。厚生労働省の人口動態統計では、「不審死」という分類自体が設けられていないため、統計的な裏付けが困難な状況である。

エポックタイムズの速報記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。
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