中国当局は7月15日、全国11億人のネット利用者を対象に「国家ネットワーク身分認証(インターネット証明書とインターネット番号)」制度の本格運用を開始した。すべてのネットサービスで実名登録、顔認証、携帯番号連携が求められ、未成年や外国人も例外ではない。
当局は「任意」と説明するが、すでに400以上のアプリや公共サービスと連携が進んでおり、行政・医療・教育・観光など多分野に影響が及ぶ。未登録だとSNS利用や電子決済、通販、公共サービスの手続きに支障が出る恐れがあり、事実上の強制と受け止められている。
人権活動家の弾圧や異論封じ込めへの悪用を懸念する声も上がるなか、山東省青島市では制度導入に反対するA4サイズのビラが街頭に貼られ、SNSでも拡散。「アカウント統一管理で発言封鎖が容易になる」と警告し、市民に警戒と意見表明を呼びかけた。
ネット上でも、監視社会の象徴とされるジョージ・オーウェルの小説『1984』になぞらえ、「1984は予告だった」「狙いは国民の口封じ」「言論の自由は消える」といった声が相次ぐ。当局は「個人情報保護」を掲げるが、専門家は「目的は市民監視と統制」だと指摘。前例のない厳格なデータ統制が、気づかぬうちに日常へ入り込みつつある。

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