TOEICスコア認定証を偽造 中国籍の2人と日本人会社員を書類送検

2025/07/24 更新: 2025/07/24

7月24日、警視庁国際犯罪対策課は、英語能力世界共通試験「TOEIC」の公式認定証を偽造したとして、有印私文書偽造の疑いで、中国籍の杜晶江(と しょうこう、35)、李龍(り りゅう、36)と石川県金沢市に住む会社員の女(39)の3人を書類送検した。警視庁は3人に対し、起訴を求める「厳重処分」の意見を付けている。

 偽造の経緯

3人は共謀し、今年4月7~8日にかけて、杜容疑者の自宅でTOEICスコア800点台後半の偽造認定証を作成した疑いが持たれている。

女会社員は、3月に実際にTOEICを受験したが、希望するスコアを得られなかったことから偽造を依頼。4月に計16万円を2人に振り込んだ。女は「海外勤務を希望していたため偽造を依頼した」と容疑を認めている。

警視庁によると、杜容疑者らは女から受け取った個人情報を中国国内の関係先に送信し、データ化した上で日本国内で偽の認定証を印刷していたとみられる。

捜査の発端

警視庁は今年4月、杜・李の両容疑者を入管難民法違反の疑いで逮捕。杜容疑者の自宅(東京都大田区)を家宅捜索した際、日本人名義の偽造運転免許証や医師免許証など約500件分のデータを押収した。

2人はすでに在留カード偽造事件でも逮捕・起訴されており、今回のTOEIC偽造もその捜査の過程で判明したという。警視庁は、これらが広範な組織的犯罪の一部であるとみて調べを続けている。

試験の信頼性に影響

TOEICは世界的に利用されている英語能力試験で、企業の採用・昇進や大学入試などに広く活用されている。認定証の偽造は、公平性と信頼性を損なう深刻な問題である。

女性が16万円もの費用を支払ってまで偽造を依頼した背景には、企業内の昇進競争や海外赴任枠の獲得といった強いプレッシャーがあったとみられる。一方、杜・李両容疑者は在留カード偽造事件でも7500点以上の偽造記録への関与が疑われており、広域的な偽造ネットワークの中核に位置する可能性もある。

警視庁は今後、中国側に偽造拠点が存在する可能性も含めて、国際的な連携による追及を視野に入れている。

清川茜
エポックタイムズ記者。経済、金融と社会問題について執筆している。大学では日本語と経営学を専攻。
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