サウスウエスト航空の旅客機が急降下 客室乗務員2人が負傷

2025/07/27 更新: 2025/07/27

7月25日、アメリカの航空会社「サウスウエスト航空」の旅客機が、カリフォルニア州バーバンク空港を離陸直後、急降下する事態が発生した。これは、軍用機が急接近したため回避行動を取ったもので、乗務員2人が負傷し、機内では一時的に「墜落するのでは」との恐怖が広がった。

突然の急降下でパニックに

航空機の追跡サイトによると、問題のサウスウエスト1496便は、離陸直後に急に高度をおよそ500フィート(約152メートル)ほど下げたという。これは、同週内で2件目となる、民間機が潜在的な空中衝突を避けるための緊急機動であった。

サウスウエスト航空とアメリカ連邦航空局(FAA)によれば、操縦士は操縦室で空中交通警報を受け取り、ただちに回避行動を実施したとのことだ。機体はボーイング737で、最終的にネバダ州ラスベガスに無事着陸した。

軍用機との危険接近は今年4件目か

この件は、3月以降で4件目の軍用機が関係する事故の可能性がある。航空情報サイト「Flightradar24」によると、当時、英国製の「ホーカー・ハンター(Hawker Hunter)」戦闘機がサウスウエスト機の前方を横切って飛行していたという。

サウスウエスト航空は声明で、負傷した2人の客室乗務員は治療を受けており、詳細なけがの内容は公表していない。

乗客の一人、ケイトリン・バーディ氏は、ロイター通信の取材に対し「本当に恐ろしかった。皆が『この飛行機は墜ちるのではないか』と思った」と語った。彼女によれば、急降下の後、機長が機内放送で「今、別の飛行機と衝突しかけた」と説明したという。

水平距離4.8マイル、垂直距離わずか107メートル

同便はロサンゼルス北部のハリウッド・バーバンク空港を出発した直後、2度にわたり空中交通警報を受信。指示に従って急上昇と急降下を行い、衝突を回避した。両機は水平方向で約4.86マイル(約7.82キロ)、垂直方向ではわずか350フィート(約107メートル)しか離れていなかったという。FAAはすでに本件の調査を開始しており、他の類似ケースについても引き続き調査中である。

他にも相次ぐ軍用機との接近事例

事件のちょうど1週間前の7月18日、デルタ航空の地域ブランド「デルタ・コネクション」として運航されていたスカイウエスト航空の旅客機が、ミネアポリスからノースダコタ州マイノットへ向かう途中、アメリカ空軍のB-52爆撃機と接近。衝突を避けるために緊急で進路を変更した。

問題となったエンブラエル ERJ-175型機は無事に目的地に着陸した。米軍によると、当該B-52はマイノット空軍基地から出発し、州の博覧会でフライオーバー(上空通過)を行う任務中だった。軍機は民間の管制塔と連絡を取っていたが、同塔は近くに民間機がいることを通知していなかった。

また、3月28日には、ダラス発のデルタ航空エアバスA319型機が、ワシントンD.C.近郊のレーガン・ナショナル空港付近で、空軍のT-38タロン練習機4機と危険な接近をした。

さらに、1月29日には、米陸軍のヘリコプターとアメリカ航空の地方路線旅客機がレーガン空港近くで空中接触し、67人が死亡するという大事故が発生している。

この一連の事件を受け、軍用機と民間航空機の空中安全性に対する懸念が高まっており、FAAは5月初め、ペンタゴン周辺での陸軍ヘリの飛行を禁止する措置を講じた。

李言
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