ワクチン死亡認定の約66%が「副反応疑い報告制度」に未報告 

2025/08/10 更新: 2025/08/10

新型コロナワクチン接種後に死亡したとして、国が「予防接種健康被害救済制度」に基づき死亡を認定し、遺族に給付金を支払った事例のうち、約3分の2が、法律で定められた「副反応疑い報告制度」には報告されていなかった可能性が高いことが、福岡資麿厚生労働大臣の定例の記者会見で明らかになった。

「予防接種健康被害救済制度」と「副反応疑い報告制度」との間、ワクチンの安全性を監視する国の二つの制度間で、情報が共有されていない深刻な実態を示すものだ。国民が接種の是非を判断する上で重要なリスク情報が正確に集約されておらず、国の監視体制そのものの実効性が問われる事態となった。

大臣は、国の救済制度で死亡認定された1031件について簡易的に照合した結果、「副反応疑い報告」として報告が確認できたのは、わずか351件(34.0%)であったことを公表。これは、国がワクチンとの因果関係を否定できないと判断した死亡事例の約66%、実に3分の2が、安全性を監視する上で最も基礎となるはずの報告制度の網から漏れていたことになる。

なぜ、国がワクチンとの関連を認めた死亡事例が、国の安全監視データから漏れてしまうのか。その背景には、「予防接種健康被害救済制度」と「副反応疑い報告制度」という、目的も仕組みも全く異なる二つの制度の「ねじれ」がある。この連携不足が、国民の安全を脅かす深刻な事態を招いている。

「健康被害救済制度」は、被害に遭った個人を金銭的に救済するためのセーフティネットといえる。被害者本人や遺族が申請し、「ワクチンとの因果関係が否定できない」と認められれば給付金が支払われる。

一方の「副反応疑い報告制度」は、これから接種する国民全体の安全を守るための警報システムだ。医師などが「副反応の疑いあり」と判断した場合、国に報告することが法律で義務付けられており、未知のリスクをいち早く発見することが目的だ。

この2つの制度が連携しないことで、ワクチンのリスクが実態より「過小評価」される。最も重篤な死亡事例が報告データから抜け落ちれば、国が公表する安全性評価は不正確になり、危険な兆候を見逃すことにつながる。また国民が「不正確な情報」で判断を迫られることだ。接種の是非を決めるための判断材料が歪められていれば、それは国民の「知る権利」と「自己決定権」を侵害するに等しい。

義務であるはずの報告が徹底されていない実態は、制度そのものへの不信感を招き、今後の公衆衛生行政に大きな影を落としている。

エポックタイムズの記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。他メディアが報道しない重要な情報を伝えます
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