中国共産党(中共)は一連の外資誘致政策を打ち出し、繰り返し外資の安定を強調しているものの、実際には外資の撤退は加速している。ある中国の財経専門家は、国内企業の悪質な競争が「あまりにも露骨だったので、外国人が恐れて逃げてしまった」と指摘している。
8月5日、中共の官製メディアは「外資安定化強化」に関するニュースを報じ、今年上半期に全国で新設された外資企業は3万社に達し、前年同期比で11.7%増加したと伝えた。しかし、中共商務部のデータによると、同期間の実際の外資利用額は前年同期比で15.2%減少している。
また、中共国家外貨管理局の統計によると、第1四半期の外国人による中国への直接投資(FDI)の純流入額はわずか147億ドル(約2兆1600億円)にとどまり、2024年第4四半期から半減以上の落ち込みとなり、過去最低を記録した。
外資の信頼回復を狙い、中共は2023年以降、外資誘致策を相次いで打ち出し、2025年には「外資安定化20条」を発表した。しかし、外資は行動で意思を示すかのように、2024年通年で1兆2277億元(約25兆8800億円)が中国から流出した。
米国サウスカロライナ大学エイケンビジネススクール教授の謝田氏は、「企業にとって利益が目的であり、市場見通しや販売利益が重要である。中国市場に十分な魅力がなければ、あるいは競争が激しすぎれば、利益が確保できず、企業は中国から移転するしかない」と述べた。
北京の財経ブロガーは、「中国企業の悪質な競争で外国人が恐れて逃げてしまい、名だたるブランドが列をなして中国を離れている。しかも、組織的・段階的に撤退している」と発信した。
台湾の南華大学国際事務・企業学科専任教授の孫国祥氏は、次のように述べている。
「大量の外資撤退は国際的な観点から見れば、地政学的リスクが依然高止まりしていることが主因だ。米中間では貿易戦争やテクノロジー戦争が続き、産業チェーンの脱中国も加速している。一方、中国国内では監督規制が安全審査の強化やデータローカル化へと向かい、外資の懸念を深めている。さらに経済回復は力強さを欠き、消費市場は縮小している。不動産危機や地方債危機も重なり、投資リターンの予測可能性は大きく低下している」
アナリストは「中国の国有企業の優位性が拡大し、外資の競争空間が制限されている。産業政策の偏りや保護主義的傾向が強まり、外資の事業運営の圧力が増加しており、それが外資の加速撤退につながっている」と指摘している。
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