バナナは消化を助ける効果で古くから高く知られており、その評価はは今日も続いています。アーユルヴェーダでは何世紀にもわたり、バナナは消化管の炎症や乾燥を和らげる、冷やす性質と保湿効果があると考えられてきました。中医学では、未熟なバナナは下痢や大腸炎に、熟したバナナは潰瘍や便秘の治療に役立つとされています。
現代医学でも、バナナは消化を助ける食品として推奨されています。バナナ、米、アップルソース、トーストからなる「BRATダイエット」の主要な構成要素であり、吐き気、嘔吐、下痢などの消化器系の不調を和らげるために、特にお腹の風邪や食中毒からの回復期に勧められることが多いです。
消化を助ける効果だけでなく、バナナは血圧を下げ、気分を高める効果もあります。

主な栄養素
- カリウムが豊富: 中サイズのバナナ1本には、男性の1日のカリウム必要量の約11%、女性の約14.4%が含まれています。バナナのカリウムは、心臓と腎臓の機能を最適に保つのに役立ちます。
- マグネシウムが豊富: バナナのマグネシウムは、神経と筋肉の機能を調節し、血糖値と血圧を維持します。また、ストレスを軽減する効果があり、ビタミンB6と組み合わせることでさらに効果的です。中サイズのバナナには約32mgのマグネシウムが含まれています。
- 食物繊維が豊富: 緑色の未成熟なバナナには、善玉菌を育てるレジスタントスターチが豊富に含まれ、熟したバナナには腸の動きを整える可溶性食物繊維のペクチンが多く含まれています。
- ビタミンB6が豊富: 100以上の酵素反応に使われるビタミンB6は、気分や睡眠を調節する神経伝達物質のセロトニンやドーパミンの生成に役立ちます。バナナ1本には、1日のビタミンB6必要量の約15%が含まれています。
健康上のメリット
「バナナはすぐに食べられ、最も手頃な果物であり、優れた栄養価と薬効により健康を築くのに役立ちます」と、食品科学者グループが『Food Chemistry』誌に掲載されたレビューで述べています。
「多くの研究者による薬理学的研究により、バナナは消化器系の疾患の治療に効果的かつ有益であることが示唆されています」「バナナには多様な高価値の生物活性化合物が含まれています」と、研究者らは書いています。
消化をサポート
バナナには、消化を助ける2つの重要な食物繊維、ペクチンとレジスタントスターチが含まれています。ペクチンは消化を遅らせ(満腹感をもたらす)、栄養吸収をサポートし、腸の動きを整えます。一方、特に緑色のバナナに多く含まれるレジスタントスターチは、小腸での消化を回避し、大腸で発酵して善玉菌を育て、便通を改善し、膨満感を軽減します。
80人の子どもと青少年を対象としたランダム化研究では、機能性便秘(症状はあるが特定原因がない慢性の便秘)に、緑色のバナナバイオマス(グリーンバナナを水で煮てブレンドしたもの)を食事に取り入れることで、通常の便秘薬の代わりに、あるいは併用することで、腸の動きが改善し、便秘薬の使用量が減少したことがわかりました。
持続的な下痢の乳児を対象とした二重盲検試験[1]では、調理した緑色のバナナを補った米ベースの食事が、対照群と比較して便の量、嘔吐、下痢の期間を大幅に減らしたことがわかりました。
[1] 対象としている薬や治療法などの性質を、医師からも患者からも不明にして行なう方法
心血管の健康をサポート
バナナに含まれるカリウムとマグネシウムの強力な組み合わせは、主に心臓のリズムと血圧に影響して、心臓と心血管系の機能を最適に保ちます。
カリウムは血管をリラックスさせ、血圧上昇の原因となるナトリウムの影響を抑えます。
2023年のインドネシアの研究では、バナナの摂取が収縮期および拡張期の血圧を下げるかどうかを調査しました。高血圧の16人の患者に、緑色で知られるアンボンバナナを1日3本、14日間与えたところ、参加者の収縮期および拡張期の血圧が大幅に低下したことがわかりました。
マグネシウムは安定した心臓のリズムを維持するために重要であり、体の電解質のバランスを整えます。
2021年の研究では、バナナが酸化によるダメージから身体を保護し、動脈に粘着性プラークが蓄積して深刻な心臓の問題を引き起こすアテローム性動脈硬化症のリスクを軽減する方法を調査しました。
この研究は2000年から2020年までの20年間の文献をレビューし、さまざまな種類のバナナに含まれる多くの有益な化合物を明らかにしました。心血管系を保護する13の方法を特定し、バナナに含まれる一部の化合物が抗酸化物質のように作用し、細胞をダメージから守り、心臓と血管の健康を維持し、血管をプラークから清潔に保つことがわかりました。
気分を高める可能性
バナナには、トリプトファン、ビタミンB6、マグネシウムなど、気分を高める可能性のあるさまざまな栄養素が含まれています。
トリプトファンは、気分を調節する「幸福感」をもたらす神経伝達物質セロトニンの生成に必要なアミノ酸です。
バナナのビタミンB6は、トリプトファンをセロトニンに変換し、感情の調節を高める神経伝達物質のドーパミンとノルエピネフリンの生成に貢献します。
バナナの果肉と皮は、快感、報酬、動機付けに関連する脳の領域を活性化する神経伝達物質ドーパミンの豊富な供給源でもあります。ドーパミンは多くの機能を持ち、気分にとって重要です。
2018年にニュージーランドで発表された研究では、422人の若年成人が果物と野菜の摂取、精神衛生、生活満足度に関する調査を遂行しました。この研究は、生の食品が精神衛生の向上に関連しており、その中でも「生のバナナとリンゴが、ほとんどの精神衛生指標の最も強い予測因子である」と結論付けました。
その他の利点
バナナは優れた天然のエネルギー源であり、運動前後の軽食として機能的です。ビタミンB6は健康な代謝と脳の発達をサポートし、ビタミンCはコラーゲンの生成と免疫機能を高めます。
吸収を高める方法
- 熟す前のバナナを食べると、緑色のバナナに豊富に含まれるレジスタントスターチが腸内の善玉菌に有益です。
- バナナとその皮を発酵させると、特定の栄養素の吸収を高めることができます。
最適な保存方法
バナナの最適な保存方法は、室温で直射日光を避けることです。アボカドや桃などの他の果物と一緒に保存すると、バナナがエチレンガスを放出するため、熟成が早まります。長期間保存したい場合は、熟したバナナを冷蔵庫に入れますが、皮が茶色になることに注意してください。バナナを冷凍することもでき、熟したバナナが最適で、冷凍すると熟成プロセスが止まります。
プロのヒント
消化への影響の違いに加え、バナナは熟度によって栄養プロファイルが異なり、デンプン、食物繊維、糖分、抗酸化物質の含有量に影響します。
緑色の未熟なバナナは、プロバイオティクス[2]として機能するレジスタントスターチの豊富な供給源であり、腸の健康をサポートし、血糖値を調節するのに役立ちます。糖分が少なく、グリセミック指数[3]が低いため、血糖値を管理したい人に適した選択肢です。
バナナが熟すと、レジスタントスターチとペクチンがフルクトース、グルコース、スクロースなどの単純な糖に分解され、甘くなり、消化しやすくなります。しかし、熟したバナナはレジスタントスターチが少なく、プレバイオティクス効果が低下します。糖分の増加によりグリセミック指数も上昇し、血糖値の急上昇を引き起こす可能性があります。
過熟バナナ、つまり茶色の斑点があるバナナは、デンプンが完全に分解されるため糖分が最も多くなります。熟すにつれて食物繊維の量が減少し、消化への利点や食後の満腹感に影響します。ただし、過完熟バナナは抗酸化物質のレベルが増加します。
甘さと柔らかい食感のため、過完熟バナナはマフィン、ケーキ、バナナブレッドなどの美味しいデザート作りに最適です。
[2]人体に良い影響を与える微生物(善玉菌)を含む食品・飲料・製剤(整腸剤)
[3]食品ごとの血糖値の上昇度合いを間接的に表現する数値
成熟度ガイド

注意点
糖尿病の人は、熟したバナナの高い糖分とグリセミック指数が血糖値の急上昇を引き起こす可能性があるため、適量を食べる必要があります。
心血管疾患がありベータ遮断薬を服用している人や腎機能障害のある人は、カリウム含有量を考慮して適量のバナナを食べる必要があります。
どの食品にも言えることですが、バナナはアレルギーを引き起こす可能性がありますが、まれで、影響するのは人口の1%未満です。
レシピ:バナナ・ブルーベリースムージー
以下のレシピは、臨床栄養士、自然療法士、エポックタイムズの健康ライターであるシェリダン・ジェンリック(Sheridan Genrich)氏の提供によるものです。
この1人前のバナナ・ブルーベリースムージーは、腸に優しく、簡単に作れて、美味しいです。
材料
- 冷蔵または冷凍バナナ1本
- 冷凍ブルーベリー約90g
- 無糖ケフィアまたはプレーンヨーグルト約240ml
- 有機チアシード大さじ1
- バニラプロテインパウダー1回分(約28g)
作り方
- シードとプロテインパウダー以外のすべての材料をブレンダーに入れます。
- 高速で約20秒ブレンドします。
- 側面をこすり落とし、さらに数秒ブレンドします。
- プロテインパウダーとチアシードを加えます。
- 滑らかでクリーミーになるまで再びブレンドします。
- すぐにお召し上がりください。
楽しい豆知識
- 植物学的には、バナナはベリーですが、イチゴ、ラズベリー、ブラックベリーはベリーではありません。
- バナナは木に生えるのではなく、バナナ植物は世界最大の草本性開花植物です。
- バナナの束は「手」と呼ばれ、個々のバナナは「指」と呼ばれます。
- 世界中で毎年1000億本以上のバナナが食べられており、1000以上の品種があります。
- バナナの皮は、特に調理すると食用になります。インドや東南アジアなどの文化では、カレーや炒め物に使用されます。

子ども向けのヒント
子どもは発達中の消化器系のため、便秘や下痢などの消化器系の問題が起こりやすいです。バナナは敏感なお腹に最適な解決策です!
バナナには美味しく食べる方法がたくさんあります。果物、ピーナッツバター、チョコレートなど、子どもが大好きな食材と相性が良く、可能性はほぼ無限です。
バナナボート
バナナの皮をむき、ボートのように縦にスライスします。バナナの長さに沿ってバニラまたはフルーツヨーグルトをスプーンで塗り、ラズベリー、ブルーベリー、ブラックベリーなどのベリーを振りかけて美味しいおやつにします。他のトッピングオプションにはピーナッツバターやチョコレートチップがあります。
バナナポップス
バナナの皮をむき、半分に切ります。各平らな端にポップシクルスティックを差し込みます。溶かしたダークまたはミルクチョコレートにバナナを転がし、砕いたナッツやココナッツフレークをトッピングして、楽しくて栄養価の高いスナックにします。
ひとくち冷凍バナナ
皮をむいたバナナを約2.5cmのスライスにします。それぞれにお好みのナッツバターを塗り、チョコレートチップをトッピングします。1~2時間冷凍庫に入れて、お子様も喜ぶ美味しい冷凍おやつが出来上がります。
(医学的監修 ジミー・アーモンド医学博士)
(翻訳編集 日比野真吾)
エルダーベリー:風邪やインフルエンザと戦う免疫の守り手
『オレガノ』 料理を彩り、健康を守る万能スパイス
ローズマリー:認知力を高める愛のハーブ
黒豆:毎日の健康を支えるパワーフード
ライム:免疫力を高め、腎臓結石の予防にも役立つフルーツ
アボカド:心臓、脳、目を守る――その効果を最大限に引き出す方法
バナナ:消化、気分、血圧をサポート――その効果を最大限に引き出す方法
マンゴー:腸と脳をサポート――吸収を高める食べ方
リンゴが脳卒中を防ぎ、腸を養う—最大限に活用する方法
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