米財務省は8月28日、中国籍の人物が大規模なマネーロンダリングに関与しているとの報告を公表し、金融機関に対し中国のパスポートを所持する顧客による多額の資金預入時には、特に警戒を強めるよう呼び掛けた。
アメリカ金融犯罪取締ネットワークの統計によると、2021~24年にかけて金融機関から報告された疑わしいマネーロンダリング件数は計13万7153件に上る。
報告書では、中国の犯罪組織が世界各地で企業を展開するだけでなく、中国人留学生や不動産取引などを利用し、さまざまな手口でマネーロンダリングを行い、不正に得た収益を中国国外に移していると指摘している。
また、メキシコの犯罪組織が中国のマネーロンダリング経路を通じて約3120億ドルを送金したほか、フェンタニルなどの薬物取引による利益の移転に加え、詐欺や人身売買、健康保険詐欺など複数の犯罪の助長にもつながっていると分析している。
サウスカロライナ大学エイケン校ビジネススクールの謝田教授は「中国共産党(中共)の汚職官僚らは、得た資金を複数の越境取引を利用し、いわゆる『事業の収入』として偽装することでマネーロンダリングを行っている。アメリカでは麻薬問題も深刻で、こうしたマネーロンダリングによって実際に麻薬取引が活発化している」と述べた。
トランプ政権も、銀行業界に対し中国のパスポート保持者による大口現金の預入などの取引を厳格に審査するよう協力を求めている。
銀行側が職業や収入に見合わない顧客の資金の動きについて、十分に確認・報告しなかった場合、違法資金の流通を招き、巨額の罰金が科される可能性がある。
大紀元コラムニスト・王赫氏は「今回、米政府が発表した文書では、中国籍を含むパスポート保持者への注意が特に強調されている。これは、米政府が中共への対応を重要課題と位置づけたことを示しており、トランプ政権でも対中政策上で重視されている」と解説している。
2024年、連邦検察官はトロント・ドミニオン銀行(TDバンク)のニューヨークおよびニュージャージーの支店が中国のマネーロンダリングネットワークによって利用され、4億7千万ドルのマネーロンダリングが行われたことを明らかにし、同行に30億ドルの罰金を科した。
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