北京で9月3日、軍事パレードが行われた。
だが開催前から人々の関心を集めたのは兵器や隊列ではなく、開催地全体を覆った異常なまでの厳戒態勢である。市民は困惑を超えて迷惑、生活も仕事も大きく制限され、人々の口から自然に出るのは「なぜここまでビビっているのか」という言葉だった。

公園の木々にも「有刺鉄線」
軍事パレード前、ネット上で広まった映像には、北京市内の公園の街路樹一本一本に大きな「有刺鉄線」が巻き付けられた様子が映っていた。鋭い針金が幹をぐるりと囲み、まるで戦場の防御柵のようだ。住民の間では「狙撃手が木に登らないようにするためではないか」との憶測が飛び交った。
(北京の公園で街路樹に有刺鉄線が巻かれた様子、2025年9月)
「窓封鎖」と住民追い出し
パレードのルートであるメインストリート・長安街沿いでは、住民への「締め付け」が徹底された。今回も住民宅に当局者が上がり込んでは窓を閉めさせカーテンを引かせ、さらに窓には封印用のテープを貼って開閉を禁じた。
オフィスビルには「休業命令」が出され、営業停止を強いた。さらに一部の住民は強制的にホテルに移され、居住空間そのものを奪われた。

火を使うことすら禁止
西長安街周辺では「当日は自宅で火を使うな」と命じられ、調理も一切禁止された。食事は地域の行政事務所や自治会が配布する軽食に頼らざるを得なかった。

まるで戒厳令下の都市のように、日常の営みはことごとく統制されたのである。
(地域の自治会が配布する軽食を受け取る市民、北京、2025年9月3日)
恐怖の裏返し
パレード当日、習近平は車列に乗って部隊を閲兵し、最新兵器も披露された。だが、その舞台裏では木々に有刺鉄線を巻き、住民を強制的に退去させ、窓まで封じるといった徹底的な統制が敷かれていた。そこに表れているのは軍事力の誇示ではなく、政権の内心に巣くう恐怖である。
インターネット上には「警備が異様になればなるほど、中共の臆病ぶりが浮き彫りになる」と冷笑する声があふれた。住民からも「自分たちが行ってきた悪事を知っているからこそ、人民の声を恐れているのだ」との皮肉が漏れる。評論家たちは口をそろえて、「共産党が本当に恐れているのはテロではなく、自国民の反乱、そして外国メディアの前で真実を叫ぶ自国民の姿だ」と指摘している。
そして、その「真実」が何であるかを、一番よく知っているのは他ならぬ共産党自身である――だからこそ窓にまでテープを貼り、有刺鉄線で木を巻き、街ごと封じ込める。人々の目には、それは軍事パレードではなく「恐怖をさらけ出すショー」としか映らなかった。

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