60代の老衰死が増加傾向 厚労省に求められる検証と透明性

2025/09/08 更新: 2025/09/09

今、60代の老衰死が増えているという。

上図の月間の人口動態統計のグラフを見ると、2018年に82人だった死亡者は2021年の75人から右肩上がりに増加している。上のグラフを作成、7日のXで投稿した藤江成光氏は、1月から4月の「60代の老衰死」が今年さらに増加していると述べた。2022年から日本人の死亡の増加を訴え続けている藤江氏は、新型コロナワクチンの接種と近年の日本人の死亡者の増加との関連を指摘する。

新型コロナウイルスのワクチン接種が、2021年2月17日、医療従事者を対象に国内で開始された。その後、4月には高齢者、6月以降には一般成人へと対象を拡大し、全国で大規模接種が進められた。

接種開始以降、健康被害の報告事例が増加した。厚生労働省による健康被害救済制度の認定状況によると、これまでにワクチン接種後の死亡として1031件を認定している。しかし、このうち副反応疑い報告制度に登録されていたのは351件、全体の34%にとどまる。残るおよそ680件は、副反応疑い報告の枠組みに入っていなかった。

副反応疑い報告制度は、ワクチンの安全性を評価するために医療機関や製薬企業に報告を義務づけている。一方、救済制度は健康被害を受けた接種者や遺族に補償を行う仕組みである。厚労省は「両者は制度の趣旨が異なるため、重複状況については制度設計上検討中」と説明している。

副反応疑い報告の内容を見ると、これまでに2295件の死亡が報告されている。そのうち因果関係が認められたのは2件、否定されたのは11件にすぎず、残る2282件(全体の約99.4%)は「評価不能」としている。情報不足を理由に因果関係が判断されない事例が大多数を占め、安全性評価の実効性に疑問が残る。

ワクチン接種は感染拡大防止に一定の役割を果たしたが因果関係については様々な議論があがっている、副反応や死亡例に関するデータの取り扱いは依然として課題が多い。救済制度と報告制度の乖離、安全性評価における「評価不能」の多さなど、制度上の問題は未解決のままである。

接種開始からすでに3年以上が経過した。厚労省には透明性の高い検証体制を整え、国民に対して正確な情報提供が求められている。
 

エポックタイムズの記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。他メディアが報道しない重要な情報を伝えます
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