中国 軍指導部高官9人党籍・軍籍剥奪 重大な職務犯罪疑い

2025/10/17 更新: 2025/10/17

中国共産党国防部は10月17日、中央軍事委員会副主席の何衛東と、軍委政治工作部の元主任・苗華ら9人について、重大な職務犯罪に関与した疑いがあるとして、いずれも党籍を剥奪したと発表した。これに先立ち軍籍もすでに剥奪しており、犯罪容疑に関しては軍事検察機関が捜査・起訴の手続きを進めているという。

中国共産党第20期第4回中央委員会総会(四中全会、10月20〜23日)の開幕を目前に控える中、7か月以上消息が途絶えていた何衛東の失脚が正式に明らかになった。

発表は17日午後、国防部の張暁剛報道官が記者会見で行った。張暁剛によると、党中央と中央軍事委員会の承認を受け、軍委紀律検査委員会と監察委員会が以下の9名に対して順次立件し、調査を進めているという。

中央政治局委員で中央軍事委員会副主席の何衛東、中央軍事委員会委員で政治工作部元主任の苗華、同部の元常務副主任・何宏軍、軍委聯合作戦指揮センター元常務副主任・王秀斌、東部戦区元司令官・林向陽、陸軍元政治委員・秦樹桐、海軍元政治委員・袁華智、ロケット軍元司令官・王厚斌、武警部隊元司令官・王春寧の9人である。

張暁剛報道官は「9人は党の紀律に重大な違反を犯し、極めて悪質な職務犯罪の疑いがあり、関与した金額も巨額だ。事件の性質は極めて悪質で、影響も深刻だ」と述べ、党中央が党籍剥奪を決定し、事件を軍事検察機関に移送したと説明した。

このうち何衛東、苗華、何宏軍、王秀斌、林向陽、秦樹桐、袁華智、王春寧の8人は中央委員でもあり、次回の中央委員会総会で処分の追認が行われる見通しだ。

中共党首習近平は2022年10月の党大会後、何衛東を異例の抜擢で中央軍事委副主席に任命した。しかし、今年3月の全国人民代表大会と全国政治協商会議(両会)閉幕後から公の場に姿を見せておらず、副主席として出席予定だった行事を相次いで欠席していた。

3月13日には、米国在住の元中国メディア関係者・趙蘭健氏がSNS「X(旧ツイッター)」に「独占情報」として投稿し、「権威筋によると、3月11日の全人代閉幕後、何衛東は軍事委員会の建物に戻る途中で連行された。現在、北京と上海の自宅も家宅捜索を受けている」と伝えている。

その後、3月25日付の米紙『ワシントン・タイムズ』は米国防総省関係者の話として、米情報機関が「10日以上公の場から姿を消している何衛東が政治的粛清を受けた」との見方を示していると報じた。また『ワシントン・タイムズ』の他にも『ニュースウィーク』も、何衛東が当局の取り調べを受けていると伝えた。

さらに、4月10日付の英紙『フィナンシャル・タイムズ』は、6人の関係者の証言として、何衛東がすでに職を解かれ、拘束後も当局による取り調べを受け続けていると報じている。

夏松
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