中国で10歳男児が腹痛で受診 6つの臓器を切除された

2025/11/04 更新: 2025/11/04

中国で腹痛を訴えた10歳の男児が、病院で腹腔鏡手術を受けた後、6つの臓器を切除される医療事故が発生。家族は2年間、真相解明と公正な対応を求め続けているが、中国医療体制の脆弱さや高額な治療費、SNSでの臓器売買疑惑など、社会的関心が広がっている。

中国本土で、治療中に患者の臓器が切除されるという事例が再び発生した。山東省菏沢市成武県に住む10歳の男児が一昨年、事故で腹部を打撲し腹痛を訴えて診察を受けた。病院では腹腔内に腫瘤があると診断され、手術を勧められた。しかし、手術後に複数の臓器が切除され、男児はその後、通常の食事や水分摂取ができなくなり、長期にわたり静脈栄養により生命を維持している。家族は2年間、真相解明を求めてきたが、いまだに明確な回答を得られていないという。

紅星新聞の10月30日の報道によると、2023年10月26日、当時小学5年生の小燁(シャオ・イェ)は、休み時間に友人と遊んでいた際、腹部をぶつけて痛みを感じた。母親の岳さんは、小燁を成武県人民病院に連れて行き、診察を受けさせた。検査後、医師は「胃と膵臓の間に占拠性病変がある」と家族に説明し、腹腔鏡による検査と手術を行う必要があると告げた。

岳さんによれば、手術はおよそ14時間に及んだ。手術中、医師は何度も慌ただしく手術室から出てきて家族に署名を求め、「大出血しており、開腹手術が必要だ」と伝えたり、「膵臓に大きな腫瘍があるため、膵臓と十二指腸を切除しなければならない」と説明したという。家族が転院を求めたものの、医師はこれを拒否した。

手術が終わった後、小燁の消化器系の大部分が切除されていた。十二指腸、膵臓、胃の大部分、小腸など複数の臓器が失われ、以後、通常の食事や水分の摂取が不可能となった。生命を維持するためには、長期の静脈栄養が必要な状態である。

現在、小燁は12歳になった。家族はこの2年間、全国各地の病院を訪ねて治療を受けさせたが、医師らは「複数の臓器移植が必要であり、適合するドナーを見つけるのは極めて困難」と説明したという。たとえ移植が成功しても、生涯にわたり免疫抑制剤を服用し続ける必要がある。莫大な治療費の負担も家族に重くのしかかっている。

報道によれば、今年7月、成武県人民病院は一家に20万元(約400万円)の補償を支払った。しかし、治療費としては到底足りない金額である。

家族は「とにかく子供を救いたい。そのために当時の監視カメラ映像や手術中の録画を確認し、真相を明らかにし、公正な対応を求めたい」と訴えている。

SNS・ネット世論の反響

この事件はSNS「X(旧ツイッター)」でも大きな反響を呼んだ。「男児の臓器が売られたのではないか」との疑念も上がる一方で、「これは臓器売買ではなく、医師が手術中に次々と過ちを犯し、それを隠すためにさらに嘘を重ねた結果だ」とする意見もある。中には「人体実験だったのではないか」との声も出ている。

元・深圳の弁護士である周君紅氏は、「私自身も似た経験がある。妊娠中の検診で医師から非常に恐ろしい説明を受けたが、冷静に別の医師に診てもらったところ、まったく問題がなかった。制度的監督が甘い中で、良心を欠いた医師や技術が未熟な医師が存在しているのが現状である。皆が注意を怠らないことを願う」と語った。

唐兵
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