雪像だと思ったら、人だった。
中国河南省開封市の観光地で、大雪の中、英雄・関羽(かんう)に扮した男性が、薄手の歴史風衣装のまま、ひげやまつ毛に積もった雪が氷となり、身動きせず立ち尽くす姿が撮影され、話題となっている。
関羽は『三国志』に登場する武将で、中国では忠義の象徴として知られ、各地の観光地で像や観光向けの演出の題材として親しまれてきた。今回注目を集めたのも、そうした演出の一つだった。
12月13日、現場は中国河南省開封市の観光施設「万歳山武侠城」。男性は大刀を手に、遠目には本物の雪像に見えるほど、身動きせず立ち続けていた。観光客が近づいて声をかけると、ようやく目を瞬かせ、生身の人であることが分かったという。
(中国河南省開封市の観光地で、雪の中に立つ関羽役の男性。2025年12月)
同じ日、河南省内の別の観光地でも、薄着の演者が雪の中で踊る様子が確認されている。厳しい寒さの中でも、観光向けの演出は続けられていた。
当局は、大雪でも演出を止めず、遠方から訪れた観光客に楽しんでもらうためだと説明している。
一方、ネット上では同情の声が相次いだ。
「生活のためでなければ、誰が雪の中で凍るほど立ち続けるだろうか」「追い詰められていなければ、ここまで我慢する必要はないはずだ」といった受け止めが、多く見られた。
英雄を演じる姿の裏で、耐えているのは一人の生活者でもある。
雪景色の美しさとは対照的に、生活のために無理を重ねざるを得ない現実が静かに浮かび上がっていた。
(河南省開封市の景勝地・万歳山武侠城で、大雪の中、寒さに震えながら出し物に立つ出演者たち。2025年12月)
(河南省開封市の景勝地で、大雪の中、水に飛び込む見世物。2025年12月)
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