EU 2035年のエンジン車販売禁止方針を緩和

2025/12/17 更新: 2025/12/17

欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会は16日、2035年からのガソリン車・ディーゼル車など内燃機関を搭載した新車の販売を原則禁止する計画を事実上緩和する改正案を公表した。電気自動車(EV)への全面移行を柱としてきたEUの環境政策は、大きな転換点を迎えることになる。

欧州委員会は2021年、温室効果ガス排出を大幅に削減する「Fit for 55」パッケージの一環として、2035年時点で新車販売をゼロエミッション車に限定する方針を掲げていた。しかし、近年のEV普及の鈍化、電池素材や充電インフラの供給不足、そして自動車産業や労働団体からの反発が相次ぎ、再検討を迫られていた。

特にドイツやイタリアなど自動車産業が基幹となる加盟国では、内燃機関車の完全廃止が雇用や経済に深刻な影響を与えるとの懸念が高まっていた。

新方針では、2030年代以降も「合成燃料(e-fuel)」や「低炭素燃料」を使用する内燃機関車の販売が継続可能となる見通し。EUは今後、より柔軟な排出基準を導入し、各国のエネルギーミックスや技術開発の進展に応じて移行を進めるとしている。また、EV普及を支援するためのインフラ投資と、バッテリー生産の域内化促進は継続する方針を明示した。

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