日本が防衛力強化を加速 対中警戒で政策転換鮮明に

2025/12/23 更新: 2025/12/23

中国共産党(中共)が日増しに攻撃的な姿勢を強める中、地域の安全保障上の脅威は継続的に高まっている。日本にとって、防衛力の強化はこれまでになく差し迫った課題となっている。国会は先週、史上最大規模となる国防予算を承認し、防衛費をGDP比2%に引き上げた。これは当初の計画より2年前倒しでの達成となる。

12月16日、国会は2025年度の補正予算案を可決し、防衛関連費として1兆1千億円を追加計上した。これに9兆9千億円の当初予算を合わせると、2025年度の防衛費は約11兆円となり、GDPの2%を占める。政府は2028年にこの水準に到達する計画だったが、高市首相が就任した後、防衛費増額の動きが加速した。

これは日本にとって大きな節目となる変化だ。日本は数十年にわたり、戦後の平和主義を維持するため、防衛費をGDPの1%前後に抑えてきた。しかし近年、日本を取り巻く安全保障環境が一段と厳しさを増す中で、防衛政策は大きな転換点を迎えている。高市政権の下、日本は殺傷能力を持つ武器・軍事装備の輸出規制緩和など、新たな方策を模索している。

ワシントン・ポストによると、バイデン政権下でアメリカ国家安全保障会議(NSC)の東アジア担当を務めたミラ・ラップフーパー氏は、「GDP比2%という目標そのものが非常に難易度の高い課題だ。しかも日本は、それを2年前倒しで達成しただけでなく、さらに高い水準を見据えている。これは数年前にはほとんど想像できなかったことだ」と語った。

ラップフーパー氏は、こうした動きは「日本が自国の安全保障をどう捉えているかに、根本的な変化が生じていることを示している」と述べ、特に日本周辺の環境がますます敵対的になっている点を指摘した。

高市氏は先週の記者会見で、「我が国を取り巻く安全保障環境は非常に厳しくなってきているので、防衛力強化そのものは必須だと考えている」と述べた。

また高市首相は先月の国会答弁で、台湾海峡で武力衝突が発生した場合、日本の「存立危機事態になり得る」との認識を示した。この発言は、台湾有事の際に日本が集団的自衛権を行使する可能性に法的根拠を与えるものと受け止められた。中共はこれに強く反発し、日本に対して一連の経済的対抗措置を講じた。

12月6日には、中共のJ-15戦闘機が沖縄本島周辺の海域で、自衛隊機に対して2度にわたりレーダー照射を行い、日中間の緊張を一層高めた。さらに、中共による日本の領海・領空への侵犯も相次いでいる。たとえば、中共の海警船が、日本と中国の間で領有権が争われている尖閣諸島周辺の日本の領海に侵入し、そのうち1隻に搭載されたヘリコプターが領空を侵犯した。

政府関係者は、こうした一連の動きによって、日本が防衛力強化を急ぐ必要性は一段と高まっていると指摘する。

中谷元前防衛相「日本はいま試されている。中国は、日本とアメリカがどのように行動するのかを見極めようとして、私たちを挑発している」と述べた。

ロイター通信によると、アメリカ国防総省の報告書草案では、中共が新設した3か所のミサイル発射施設に、すでに100発を超える大陸間弾道ミサイルを配備している可能性があるとされ、さらに軍備管理交渉に応じる姿勢も示していないという。この報告書は、中共がもたらす軍事的脅威が拡大している現状を浮き彫りにしている。

同草案は、新たに配備されたミサイルの具体的な想定目標については明らかにしていない。アメリカ政府関係者は、報告書は議会提出前に修正される可能性があるとしている。

中共に加え、北朝鮮による核戦力の拡充も日本にとって深刻な安全保障上の懸念材料となっている。また、ロシアによるウクライナ侵攻は、日本国内で「中共が台湾に侵攻するのではないか」という懸念をさらに強める要因となっている。

日米同盟強化と自立性の両立

専門家の中には、トランプ政権が掲げる「アメリカ第一主義」を踏まえ、日本は防衛面での自立性を高め、日米安全保障同盟のみに依存する姿勢を見直す必要があると指摘する声もある。

日本の高官の一人は、内部議論についてワシントン・ポストに対し、日本は防衛力強化がアメリカの利益にも合致することを示したい考えだと語った。現在、日本には約5万5千人のアメリカ軍が駐留している。

自民党の小林政調会長は、日本としてより強固な抑止力を持つ必要があると述べた。

小林氏は、防衛予算拡大について「他国に言われたから変えているわけではない」と述べ、「日米関係を強化すると同時に、日本自身が持つ能力を最大限に発揮する必要がある」と強調した

防衛力強化を加速

防衛力強化計画によると、日本は新技術の導入や国産能力の整備を含む一連の施策を進めており、とりわけ台湾に最も近い南西諸島への重点配備を進めている。これには、国産の長距離スタンドオフミサイルが含まれ、日本は中国や北朝鮮の領域深部に対する反撃能力を獲得することになる。また、回避性能が高く迎撃が困難とされる極超音速ミサイルの開発も進めている。

さらに、既存装備の改修や新システムの導入を通じて、統合的な防空・ミサイル防衛能力の強化を図っている。たとえば、アメリカから技術供与を受け、「イージス」システム搭載の護衛艦やパトリオットミサイルの改良を進めている。

重要な計画の一つが沿岸防衛システムで、無人機による「防護シールド」を展開し、空中および水中の無人システムから成る編隊によって情報収集と早期警戒を行う構想だ。

小泉防衛相は先月、台湾から約110キロに位置する与那国島の自衛隊基地を視察し、同基地へのミサイル配備計画が着実に進んでいると述べた。与那国島への配備は、極めて重要な戦略的意味を持つ。

小泉氏は、与那国島の基地に中距離地対空ミサイルを配備する計画は、島の安全確保を目的としたものだと説明した。

日本はまた、中共の軍事的圧力に直面する他国との協力も模索しており、フィリピン、オーストラリア、東南アジア諸国との連携を進めている。今年初めには、日本はオーストラリアと新型フリゲート艦の売却で合意し、老朽化した艦隊の更新を支援することになった。さらに、日本がフィリピンに指揮統制システムを輸出する計画も報じられた。

張婷
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