中国共産党軍で、思わず二度見してしまう出来事が起きている。北京で行われた上将の昇進式。晴れの舞台のはずが、会場はやけにスカスカだった。出席していた上将は、新しく昇進した2人を含めても、わずか6人しかいなかった。
上将とは、共産党軍の最高位で、日本で言えば大将クラスである。本来なら、ずらりと並んで記念写真を撮るはずの顔ぶれだ。ところが昨年末には約20人いた上将が、1年も経たないうちに16人も姿を消した。
皮肉なことに、多くの上将は最高指導者の習近平が自ら引き上げた人物とされる。その人事が裏目に出て、いまや軍の上層部は内部対立と疑心暗鬼に覆われている。
戦争は起きていない。内乱もない。
では、なぜ将官が減るのか。
答えは単純だ。敵は外にいない。
上将たちは、戦場ではなく、内部闘争で次々と失脚している。
海外の論評家の間では、「どんな戦争でも、これほど多くの最高位将官が倒れることはない。世界の軍事史の奇跡だ」と、皮肉交じりに語られている。
戦わずして将官が倒れる。
「軍事史の奇跡」は、いま中国で進行中である。
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