習近平の腹心鍾紹軍が拘束 軍粛清と汚職疑惑 異例のシグナルか

2025/12/27 更新: 2025/12/27

独立評論家の蔡慎坤氏によると、中国共産党軍内部では内紛に関する情報が絶えず流出しており、多くの将軍らの失脚に関する噂が後に事実と確認されてきた。蔡氏は、中共党首・習近平の軍内における腹心である鍾紹軍が、最近、軍の規律検査委員会に連行されたと指摘した。また、鍾が何衛東や苗華の案件に深く関与しているとも述べた。

習近平は22年間忠誠を尽くしてきた鍾を守り切れなかったとされ、これは極めて異例なシグナルを外部に向けて放っているとみられる。ただし、この情報は当局によって公式に確認されたものではない。

12月25日、蔡慎坤氏は自身のメディア番組で、「鍾紹軍が拘束されたことはすでに確認した。これは単なる冷遇ではなく、完全に見捨てられたことを意味する」と明らかにした。

蔡氏によれば、鍾紹軍はロケット軍と前国防部長李尚福の汚職事件の後、すでに影響を受けていた。中央軍事委員会弁公庁主任の職を外され、静かに国防大学の政治委員へ異動させられていたという。苗華・何衛東の案件の捜査が進展するにつれ、鍾紹軍が難を逃れることは難しくなり、ついに最近、軍紀律委員会によって直接連行されたとする。最も若い中央委員の一人であり、習近平が自分に22年間忠誠を誓ってきた鍾を最終的に守り切れなかったことは、きわめて異例のメッセージを外部に向けて発していると蔡氏は語った。

さらに蔡氏は、「鍾紹軍は苗華・何衛東一派の中でも最も重要な核心メンバーの一人であるとされている。鍾は、苗華が福建時代に習近平と親しい関係にあったと認識し、両者は互いに協力してそれぞれが推薦する人材を昇進させた。その過程で多くの腐敗的な利害関係が形成された」と述べた。

上将16人不在の昇進式が示す軍内異変

中共中央軍事委員会は12月22日に上将(大将に相当)への昇進式を開催し、東部戦区司令官・楊志斌および中部戦区司令官・韓勝延が上将に昇進した。外部観察によると、前回の上将昇進式は昨年末に行われ、およそ20人の上将が出席していたが、今回は16人の上将が姿を見せなかったという。

蔡慎坤氏は「苗華が推薦する人選を鍾紹軍はすべて承認し、逆に鍾紹軍の推薦を苗華もすべて認めていた。最終的に習近平へ報告が上がる人材は、両者が承認した人物ばかりだった。その結果、ここ数年で習近平が昇進させた将官は80人近くに上る。しかし、問題を起こさなかった者はごくわずかのようだ」と述べた。

習近平の「22年腹心」鍾紹軍とは誰か

鍾紹軍は現在57歳。浙江省開化県の出身で、杭州大学を卒業後、浙江省委員会機関に勤務した。2002年、習近平が福建省から浙江省のトップに転任した際、秘書を伴わなかったため、当時34歳だった鍾紹軍が習の秘書に任命された。鍾は習から高く評価され、浙江から上海、さらに北京へと異動する際も常に同行した「之江新軍(浙江人脈)」の一人である。2002~24年の22年間、鍾紹軍は習近平の腹心秘書として仕え続けた。

2013年6月、鍾紹軍は中央軍事委員会弁公庁副主任兼中央軍事委員会主席弁公室主任に任命され、2017年8月には同弁公庁主任兼主席弁公室主任に昇進した。さらに、中央軍事委員会改革・編制弁公室主任、中央軍事委員会「国防と軍隊改革深化指導グループ」弁公室主任、軍隊選挙委員会委員などを兼任していた。

軍人としての勤務経験が一日もなかったにもかかわらず、鍾紹軍は2013年に習近平から軍の大校(上級大佐)の軍銜を授与され、2016年に少将、2019年に中将へと昇進した。

しかし、2024年4月、鍾紹軍は静かに国防大学政治委員に異動となった。

さらに2025年8月30日、蔡慎坤氏は自身の番組で「鍾紹軍はすでに国防大学政治委員の職を解かれた」と暴露した。

評論家の王友群氏は以前、本紙「大紀元」への寄稿で、「鍾紹軍の失脚は、ロケット軍を含む重大事件、あるいは苗華・何衛東の大規模汚職案件、または一族への利益供与問題に関係している可能性がある」と分析していた。ただし、彼が習近平の腹心であるため、当局は処理を秘密裏に進めている。

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