2026年の年明けに発表された、中国共産党トップの習近平による新年演説が、例年と明らかに異なるとして注目されている。
演説では、「経済が新たな段階に進んだ」「総合国力が高まった」と成果を強調する一方、景気悪化や国際的な圧力といった現実的な問題にはほとんど触れず、「困難を克服した」と短く済ませた。
2024年、2025年の演説では、外部環境の悪化や構造的な課題に言及し、政策対応を説明していたが、今回はそうした説明が消えた点が際立つ。
中国情勢に詳しい評論家・王剣氏は、「今回の演説は現実を説明し国民を安心させるものではなく、成果だけを並べてリスクを避ける防御的な内容だ」と分析する。
2025年に入ってからの経済下振れや外交環境の悪化が、党内での圧力を強めている可能性があるという。
演説では、2025年の国内総生産が140兆元に達したことや、成長率5%を達成したことが強調された。王剣氏は「これは単なる実績誇示ではなく、政権の正当性を保つため、中央から地方まで数字を統一せざるを得ない状況を示している」と指摘する。
言葉遣いにも変化が見られた。これまで多かった「私が進めた」という表現は減り、「我々が成し遂げた」といった集団的な言い回しが増えた。政治的圧力の中で、姿勢を意図的に低くしている可能性がある。
外交についても、国際協調より「歴史の正しい側に立つ」といった立場表明が前面に出た。外交の選択肢が狭まる中での自己防衛的な姿勢とみられている。
さらに、公開映像では、以前より老け込み、発言の勢いが弱まったとの指摘も出ている。側近の相次ぐ失脚や軍への統制不安も重なり、形式上はトップでありながら、実際の権力は弱まっている可能性がある。
今回の新年演説は、中国の権力構造に静かな変化が起きている兆しとして受け止められている。
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