1989年に学生らの民主化運動が武力弾圧された天安門事件で子どもを失った母親らでつくる「天安門の母」の新年会が、中国共産党(中共)当局によって中止に追い込まれた。
天安門事件当時の学生リーダーだった王丹氏は、今回の対応について「政権が非常に弱体化していることを反映している」との見方を示した。
人権団体「中国人権」(Human Rights in China)によると、「天安門の母」は2025年12月28日、北京市崇文門にある飲食店で新年の集まりを開く予定だったが、公安当局が法的根拠を示さないまま関係者を呼び出し、開催の中止を求めたという。参加予定者は過去最多の42人で、このうち6人は初参加だった。
この件について王丹氏は、「強い憤りを覚える」と述べ、「天安門の母はすでに子どもを失うという、人としてこれ以上ない悲劇を経験している。互いに集まり、心の支えを得ることは、最も基本的な人間性だ」と批判した。
「中国人権」は声明の中で、36年の間に多くの「天安門の父母」が無念を抱えたまま亡くなったと指摘。その上で、中共当局は1989年の民主化運動において政府が罪のない市民を殺害した事実を直視せず、事件解決に向けた誠意ある取り組みや遺族との対話を行ってこなかったと非難した。一方で、公権力を濫用し、市民の正当な社交の権利を妨害していると訴えた。
王氏はさらに、「これはこの政権の邪悪な本質を示している。まさに『邪悪』という言葉で表現するほかない」と述べ、「表面上は強そうに見えるが、実際には疑心暗鬼に陥り、すでに古希に近い高齢者による集まりすら恐れて阻止する姿勢は、当局の内面の不安と弱さを露呈している」と指摘した。
「天安門の母」は昨年の公開書簡でも、六四事天安門事件に関する調査の実施、すべての犠牲者名簿の公開、被害者家族への補償、関係者の法的責任追及を改めて求めている。
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