習近平体制に忍び寄る不安 党内に広がる恐怖と粛清の連鎖

2026/01/28 更新: 2026/01/28

中共中央軍事委員会副主席の張又俠が1月24日に正式に拘束されたと発表されて以降、中国共産党党首である習近平の今後の命運に注目が集まっている。分析では、張又俠の失脚は、習近平が完全に孤立状態に陥ったことを示す象徴的な出来事だとされており、習近平は「粛清を重ねるほど恐怖が深まり、その恐怖がさらなる粛清を招く」という死のスパイラルに陥っていると指摘されている。

中共国防部は1月24日、中央政治局委員で中央軍事委員会副主席の張又俠と、中央軍事委員会委員で統合参謀部参謀長の劉振立が、「重大な規律・法律違反」の疑いで立件調査を受けていると発表した。

これまでとは異なり、元中央軍事委員会副主席の何衛東、元国防相の魏鳳和、李尚福らが長い期間消息不明になってから正式に失脚が発表されたのに対し、より高位にある張又俠が迅速に立件調査入りを公式発表されたことは極めて異例とされる。

張又俠は習近平と「世代を超えた交友関係」にあり、軍内における「最側近中の最側近」と目されてきた。張又俠と劉振立が同時に失脚したことで、7人いる中央軍事委員会メンバーのうち5人がすでに粛清され、現在、習近平を除けば張升民だけが残っている状況となっている。

張又俠が粛清された理由について、中国共産党元外交部職員の韓連潮は、X(旧ツイッター)への投稿で、張又俠は習近平とは紅二代として長い付き合いであり、軍内の重鎮でもあったことから、もともと習近平への忠誠心が疑われる理由はなかったと指摘した。その上で、独裁者の末期に見られる心理的病理として「有能で人望があること自体が、疑いの対象になる状態」だと述べた。

韓連潮は、張又俠が実際に謀反を企てたとは考えておらず、問題の本質は習近平の内面に根深く存在する不安感と焦燥感にあると分析した。王岐山を使い捨て、そして今回張又俠を立件した流れは「寝所のそばに、独立した人格や基盤を持つ同盟者を許さない」という、同盟者ではなく、自分で考えず、命令に従うだけの官僚を求める習近平の貪食的な政治論理を示していると指摘した。

投稿では、過去の中国共産党指導者と比べても、習近平による大規模な粛清は個人権威が底まで落ち込んでいることを示していると分析されている。人々に「敬われる」ことも「服従させる」こともできず、最終的に「恐れさせる」手段しか残っていないという。

一方で、こうした高圧的な粛清によって築かれる恐怖の均衡は極めて脆弱だとも分析されている。張又俠のような鉄板の側近ですら命運を保てなかったことで、党内・軍内には強い連鎖的不安が広がり、権威の確立どころか、深層的な不信と消極的態度を生み出しているとされる。

韓連潮は、張又俠の失脚が、習近平が完全な孤立状態に陥ったことを示しているとし、習近平は「粛清を重ねるほど恐怖が深まり、その恐怖がさらなる粛清を招く」という死のスパイラルに陥っていると述べ、この内部で進む求心力の崩壊と憎悪の蓄積が、最終的にこの全体主義体制を崩壊させる最後の一押しになると分析している。

民主化運動の重鎮である王丹氏は1月26日、Xへの投稿で、張又俠事件は一方では習近平と張又俠の軍権を巡る権力闘争であり、同時に習近平の権力不安が全面的に噴出した事例だと述べた。

記事は、張又俠の拘束が少なくとも三つの現実を浮き彫りにしたと指摘している。最高権力は安定しておらず高度な不安定状態にあること、度重なる粛清が軍に対する体系的な不信を露呈していること、そして軍の構造的弱体化が権力そのものに跳ね返り始めていることだとした。

王丹氏は「毛沢東時代の粛清が極権の頂点で行われたとすれば、今日の習近平式粛清は、恐怖に突き動かされて賭け金をつり上げ続ける博打のようなものだ」と分析し「習近平は自らの政治生命だけでなく、文字通り自分の命運そのものを賭けている」と述べた。

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