パナマ最高裁 香港CKハチソン港湾契約違憲判決  米中競争の渦中 巨額不正で運河運営に激震

2026/01/30 更新: 2026/01/30

パナマ最高裁がCKハチソン港湾契約を違憲判決! 監査で12億ドル損失と不正発覚。米中競争の舞台・パナマ運河で中国影響力後退か。再入札の可能性がある。

パナマ最高裁判所は1月29日夜、注目の判決を下し、香港の長江和記実業(CKハチソン・ホールディングス)の子会社がパナマ運河の両端で港湾を運営しているコンセッション契約を違憲と宣告した。

この判決により、1990年代から同戦略的水路のコンテナターミナルを運営してきた同社は、今後の事業継続に極めて大きな不確実性を抱えることとなった。

監査で発覚! CKハチソン子会社の巨額損失と「幽霊運営権」不正

この判決は、パナマ監査庁(審計長官室)が行った調査結果に基づくものである。
監査長のアネル・フローレス氏は、CKハチソンの子会社「パナマ港湾公司(Panama Ports Company)」が2021年に得た25年間の契約延長について、複数の違反行為があったと指摘した。

フローレス氏によれば、監査では未払い金や会計上の誤りのほか、2015年以降に港湾内で存在が疑われる「幽霊(ゴースト)運営権」が発見されたという。

いわゆる幽霊運営権とは、公表されていない免税下請け構造を通じて実際の利益を政府の監督外に隠し、政府に支払うべき運営権料(コンセッション・フィー)や所得税を回避する仕組みを指す。

監査報告によれば、これらの不正行為によって2021年の契約延長以降だけでも政府は約3億ドル(約450億円)の損失を被ったとされる。さらに、最初の25年間の契約期間にまで遡ると、総損失は推定で12億ドル(約1800億円)に達するという。

またフローレス氏は、契約延長が当時、監査庁の正式な承認を受けていなかった点も厳しく批判した。

パナマ運河の戦略的価値:世界貿易5%、米軍補給線の要衝

この法的判断は、米中両国がパナマ運河での影響力をめぐり競い合う中で下されたものである。

パナマ運河は、大西洋と太平洋を結ぶ要衝であり、船舶が南米を迂回することなく航行できるため、約1万3千キロメートルの航程を短縮し、最大18日間の航行時間と巨額の燃料コストを節約できる。

この戦略的に極めて重要な航路を通過するのは、世界の海上貿易量の約5%に上り、その最大の利用国は米国である。

商業的価値にとどまらず、紛争時には同運河を通じて米海軍が両大洋間で艦艇や軍需物資を迅速に移動させることが可能である。すなわち、この航路を掌握することは、戦時における補給線の安定確保を意味する。

米国のルビオ務長官は就任後初の海外訪問先にパナマを選び、アメリカの立場を明確に示した。ルビオ氏は、これらの港湾運営を「国家安全保障上の問題」と位置づけた。

トランプ政権もまた、中国共産党によるパナマ運河への影響力拡大を阻止することを地域戦略の優先課題として掲げ、かつてはパナマが運河の管理権を米国に戻すべきだとする提案まで行ったことがある。

CKハチソン売却計画頓挫、中共介入の影

昨年、CKハチソンは、同社が保有するパナマ港湾公司の持株の過半数を、ブラックロック(BlackRock)を含む国際コンソーシアムに売却する計画を進めていた。しかし、この取引は最終的に中共当局の介入によって停滞した。

現在、パナマ最高裁は港湾運営の今後の引き継ぎについて具体的な指針を示していないが、外部では今回の判決を米国側にとっての勝利とみる声が多い。

この判決により、パナマ政府は港湾運営の法的枠組みを再検討し、関連するコンテナターミナルの運営権入札を再び開くことを迫られる可能性がある。

陳霆
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