パナマ最高裁判所は先ごろ、香港のCKハチソン(長江和記実業)がパナマ運河両端で保有していた港湾運営権を取り消す判決を下した。中国共産党(中共)当局は、港湾契約を撤回すれば「重大な代償を払うことになる」とパナマを威嚇した。
これに対し、パナマのホセ・ラウル・ムリーノ大統領は、今後の港湾コンセッション(公的事業運営権)は単一企業のみに付与することは「断じてない」と表明し、パナマは法の支配を守り、司法の独立を尊重すると強調したうえで、いかなる国家からの脅迫も受け入れないと述べた。
香港のCKハチソンが保有していた港湾コンセッションを巡り、ムリーノ大統領は2月5日、強硬な声明を発表した。ムリーノ大統領は、運河の要衝に位置する2港の運営権を「今後いかなる単一企業にも付与しない」と明言し、最高裁の判決は最終的な結論であると強調した。
ムリーノ大統領の姿勢は、パナマがこれまで米中間で維持してきた「実利的均衡」の伝統を破るものであり、北京の立場を正面から突くものとなった。
台湾の国防安全研究院の謝沛学副研究員は「ドナルド・トランプ米大統領は2025年の就任以来、パナマ運河の奪還について触れ、軍事手段も排除しないと示唆してきた。理由は中国の影響力が浸透し、米軍の安全、ひいては米国の国家安全保障を脅かしているとの認識だ」
「米政府の極限的な圧力は、パナマ政府に対し、米国による軍事・経済的管理を受け入れるか、中国の影響力を自ら排除するかの選択を迫った。今回の表明は、米国への忠誠の意思表示とも言える」と述べた。
今回の事態の発端は、パナマ最高裁が1月下旬、CKハチソンの子会社が運営していたバルボア港とクリストバル港のコンセッション契約を違憲かつ無効と判断したことにある。
なぜパナマがこの時期に中共政府と対立する姿勢を示したのかとの問いに対し、台湾の国防安全研究院の沈明室研究員は、「第一に、米国の支持、あるいは背後の存在がパナマの自信を支えている可能性がある。第二に、中国と曖昧な関係を続ければパナマにとって不利になる。中国からの投資を一部失う可能性はあるが、中国の投資は債務の罠を構築し、受け入れ国が必ずしも利益を得られるとは限らない」と述べた。
沈明室研究員はさらに「パナマは米国に近く、中国からは遠い。米国の圧力をより強く感じる一方、全面的に米国側に傾き、中国に強硬な言辞を浴びせることもできない。今回の対応は、中国にパナマの立場と運河問題の不可逆性を理解させる狙いがある」と述べた。
ブルームバーグは関係者の話として、中共当局が国有企業に対し、パナマとの新規案件協議の停止を指示し、海運会社に航路変更の検討を求め、さらに税関当局に対してパナマ産バナナやコーヒーの検査強化を指示したと報じた。中共当局は最高裁判決に対し、パナマは「重大な代償」を払うことになると警告している。
これに対し、ムリーノ大統領は「パナマは尊厳ある国家であり、いかなる国家からの脅威も決して受け入れない」と述べた。
謝沛学副研究員は「パナマは2025年2月に中国の『一帯一路』構想から正式に離脱しており、ムリーノ政権は中共政府を恐れないという戦略的方向性をすでに示している。
1997年に締結された港湾契約は、透明性や利益供与の問題でパナマ国内で批判を受けてきた。ムリーノ大統領は司法の独立を守る姿勢を示し、パナマは外国政府の圧力に従う国ではなく、法治国家であると強調している」と述べた。
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