中国で運転免許が事実上「商品」と化していた実態が、裁判文書により明らかになった。
舞台は河南省の都市、漯河市(らがし)である。現地の自動車教習所の校長が中心となり、組織的に試験で不正行為を行い、数千人を不正手段で合格させていたことが判明した。
公開された判決書によると、この教習所では2017年以降、校長が副校長や試験場の管理関係者らと結託し、超小型カメラや信号送信機、耳に入れる超小型イヤホンなどを使用して、学科試験や技能試験で受験者の不正を手助けしていた。
不正の手口はさらに巧妙であった。受験者を年齢や学歴、理解力などによって選別し、「どのレベルの不正が必要か」を事前に判断していたという。その結果、5677人もの受験者が不正に免許を取得したとされる。
校長は1人あたりに高額な不正報酬を徴収し、違法収入は約256万元(約5600万円)に上った。事件発覚後、一部を返還したものの、懲役4年の実刑判決を受け、出所後5年間は自動車教習所の経営を禁じられた。
この事件の報道を受け、中国のネット上では怒りと不安の声が相次いでいる。「数千人が不正に免許を取り、公道を走っていると思うと背筋が寒くなる」「日常的にすれ違う車の中に、どれだけ運転技術のない人間がいるのか考えただけで恐ろしい」といったコメントが相次いだ。
さらに、「人の命を危険にさらす許されない犯罪だ」「不正取得者は全員やり直すべきだ」などと、不正合格者に対する再試験を求める声も広がっている。
金で試験をすり抜けた未熟なドライバーが、公道に出ている。その代償を払うのは、何も知らずに道路を利用する一般の人々である。
免許の重みは、どこで失われたのか。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。