警察庁は10日、外国で取得した運転免許証を日本の運転免許証に切り替える「外国免許切替(外免切替)」制度について、審査を厳格化し、観光客など短期滞在者には原則として認めない方針を発表した。新たな制度は2025年10月1日から施行される予定である。NHKなどが報じた。
これまでの「外免切替」制度では、申請時に住民票がなくてもパスポートやホテルが発行する「一時滞在証明」などで手続きが可能だった。そのため、観光客を含む短期滞在の外国人が日本の運転免許証を取得できる抜け道が指摘されていた。
今回の見直しでは、申請者の国籍にかかわらず、原則として住民票の写しの提出が必要となる。これにより、観光目的など短期間の滞在者は「外免切替」で日本の免許証を取得できなくなる。例外として、国外に転出している日本人や外交官、国内の公道を使ったラリーに参加する外国人レーサーなどは、戸籍謄本や大使館が発行する証明書類の提出で申請可能とされている。
警察庁によると、制度の見直しの背景には、短期滞在者による申請の増加や、交通ルールの知識不足による事故の増加がある。2024年には「外免切替」で免許を取得した外国人による交通事故が過去10年で最多となる7286件に上ったという。
また、知識確認試験の内容も大きく変更される。従来はイラスト問題10問中7問正解で合格だったが、今後は50問に増やし、正答率90%以上が合格基準となる。技能確認も厳格化され、横断歩道での歩行者優先や右左折の方法、踏切での一時停止などが重点的に審査される。
警察庁は、今回の改正について7月11日から8月9日までパブリックコメントを募集し、意見を踏まえて正式決定する予定である。今後も、制度運用の透明性と公平性を確保し、交通安全の向上を目指すとしている。
外免切替制度の発案と施行決定の経緯
現在施行中の「外国免許切替(外免切替)」制度は、1933年(昭和8年)から運用が開始された歴史ある制度である。当初は、外国で運転免許を取得した日本人が帰国後に日本の運転免許証へ切り替えることを想定して導入された。
この制度の発案や施行決定については、特定の個人や政党が発案したものではなく、当時の警察庁(旧内務省警察部門)が中心となり、道路交通行政の一環として制度設計・施行を行った。運転免許制度自体は警察庁が所管しており、制度の新設・改正は警察庁の交通局運転免許課および国家公安委員会の決定によるものである。警察庁を所管する大臣は「国家公安委員長」だ。
また、近年の制度改正や運用見直しについても、警察庁が主導し、社会状況や交通事故の発生状況、国会での議論などを踏まえて方針を決定している。具体的には、知識試験の内容や申請条件の厳格化なども警察庁が中心となって進めている。
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