ザンビアにおける通貨の勝利を主張する中共 人民元の国際化は依然として神話のまま

2026/02/12 更新: 2026/02/12

ザンビアでは中国人民元はほとんど使われておらず、中国の主張による「世界がドル離れ」してるという見方は誇張であるということがわかる。

 

中国はザンビアでの通貨の流通面では広く有利に立っていると主張しているが、しかし、事実ではそこまで広まっていないと言える。

ザンビアが鉱業税の決済を人民元に限定的に受け入れることを、中国共産党(中共)政府は通貨面では推進しているという大きな結果を宣伝している。

しかし実際には、ドル離れが進んでいるというよりも、債務管理の簡易化、コスト効率化という対応にすぎないのである。

中共は、ザンビアでの人民元の国際化、脱ドル化を進める取り組みとしては圧勝していると主張。

ザンビアはGDP280億ドルのアフリカの小国で、中国に対して66億ドル以上の債務を抱えており、これは総対外債務約230億ドルの4分の1以上を占めている。それでも、ザンビアでの人民元の使用する範囲は、限られている。

ザンビアでは、日常的に二重通貨制度の導入を拒否しており、中国人民元の支払いを承認しているのはごく限定的な用途だけである。

また、外貨準備として保有している人民元も少額になっている。

このような状況から見て、これを脱ドル化と呼べるにはほど遠く、人民元が国際社会で広く使われる通貨になりつつあるとも言えない。ましてや、米ドルにとって代わる通貨とは到底言えない。

ザンビアは、鉱業税の支払いに人民元を認める初めてのアフリカの国で、しかし、シトゥンベコ・ムソコトワネ・ザンビア国家計画大臣によれば、人民元で支払われる鉱業税は全体の15%にとどまり、60%は引き続き米ドルで支払われている。

また、この試験プログラムに参加している中国企業もごく少数である。

このような通貨使用の限定的な変化は、中共が進める「一帯一路」構想の戦略的意図を浮き彫りにしており、いわゆる債務のわな外交という批判を裏付けている。

もしザンビアが、人民元は米ドルよりも優れた通貨だと考えているなら、支払いの大半、あるいはそのすべてを人民元におきかえているはずである。

しかし、実際には、ザンビアが人民元での支払いを一部に認めた理由は、人民元への信頼が高まっていることではなく、中国に対する対外債務の返済の返済コスト削減に過ぎない。

人民元の使用は、中国にとって「中国人民の国際化の推進」と誇示できる材料になるだけでなく、取引コストの削減になる効果もある。その結果、中国はザンビアの天然資源をより安い値で手に入れることができる。

この変更により、従来コスト増の原因となっていた複数通貨間の換算が不要となり、移行を円滑化するため、ザンビア銀行は2025年末に人民元とザンビア通貨・クワチャの公式為替レート公表を開始し、決済・会計システムへの通貨統合をより直接組み込んだ。

この取り決めは、グローバル金融の構造的変化というよりも、ザンビアの中央銀行が最大の貿易相手国に対応するために行った調整である。実際には、中国は資源の対価として人民元でザンビアに支払い、ザンビアはその人民元を用いて中国に対する債務を返済し、中国からの輸入品も購入している。

さらに、この合意はザンビアで事業を行う会社に支払いを限定されており、中国政権からの直接送金には適用されない。調整は債務返済の仕組みに影響を与えるが、ザンビアの広範な貿易体制や外貨準備通貨の枠組みを変更するものではない。また、この政策は国内での二重通貨制度を導入するものではなく、小売取引、賃金、商業取引における唯一の法定通貨はザンビア・クワチャのままである。

同様な例はアフリカの他地域にも見られる。ケニアが対中債務の返済を人民元で行うことを決定し、エチオピアが中国金融機関と部分的な通貨スワップ交渉を行ったことを受け、アフリカ諸国では同様の動きが顕著になっている。これらの事例を総合すると、中国との貿易・債務依存度が高い国々において、人民元建て取引が限定的ながら正常化しつつあることが示されている。

通貨スワップとは、両国の中央銀行が、スワップ実行日における市場為替レートに基づいて評価している。貿易決済時には、通貨は公開市場で交換されるのではなく直接交換される。こうした取り決めは通常、範囲が限定的である。なぜなら、関連資金は確保されなければならず、他の目的に使用できないからだ。この制約が、ほとんどのアフリカ諸国が中国との間で比較的小規模なスワップライン(通常20億~30億ドル未満)を維持している理由である。

2012年8月7日、ザンビアの首都ルサカから南へ約200マイルに位置するシナゾングウェにある中国資本の炭鉱(ジョセフ・ムウェンダ/AFP/ゲッティイメージズ)

通貨スワップもまた、人民元の受容拡大にはつながらない、ザンビアなどのような国々は、人民元ではなく自国通貨で支払いを受けとっている。実際には、こうしたスワップは会計上の迂回手段として機能する。例えばザンビアが中国インフラプロジェクトの支払いにスワップを利用した場合、人民元は広範な経済圏内で流通せず、ザンビア銀行から直接、北京にある中国請負業者の口座へ移動するだけである。

中国政府は、他国の中央銀行との通貨スワップ協定を通じて、人民元が現在、世界の通貨取引の8.5%を占めていると主張を強調しているが、これは2022年の7%から上昇した数字であり、これは人民元が広く受けいれられているという意味にはならない、また、ロシアだけがこの取引で占めており、ロシア政府でさえ人民元の受け入れには慎重で、ドル建てで国際取引プラットフォームから締め出された結果、やむを得ず利用しているにすぎない。この数値には通貨スワップも含まれているが、前述のとおり、これは真の意味での人民元の受容とは言えない。その結果、ロシア以外で人民元建てで決済されている実際の貿易割合は、はるかに低いとみられる。

一方で、世界の外貨準備に占める人民元の割合はわずか2.4%にとどまっている。これに対し、米ドルは世界の外貨準備の約58%を占めており、この比率は2022年以降ほぼ変わっていない。さらに、国際決済銀行(BIS)のデータによれば、2025年4月時点で、米ドルはすべての外国為替取引の89%を占めている。米ドルは、1日当たり約9.6兆ドルに上る世界の取引量の主要な媒介通貨(ビークル通貨)として機能しており、その規模は他のいかなる通貨をも大きく上回っている。

つまり、中国共産党は限定的な貿易においては少数の国を受け入れ成功しているが、実際には米ドルは依然として世界から基軸通貨としての地位を維持しており、近い将来にこの状況が変わることは見られない。

 

経済学者、中国経済アナリスト。上海体育学院を卒業後、上海交通大学でMBAを取得。20年以上アジアに滞在し、各種国際メディアに寄稿している。主な著作に『「一帯一路」を超える:中国のグローバル経済拡張』(Beyond the Belt and Road: China's Global Economic Expansion)や『A Short Course on the Chinese Economy』など。
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