財政演説 片山財務大臣が語る「成長型経済」への移行と予算・税制の全貌

2026/02/22 更新: 2026/02/22

令和8年2月20日、片山財務大臣は第221回国会において財政演説を行った。演説では、日本経済の現状認識や高市内閣が掲げる「責任ある積極財政」の基本方針が示されたほか、一般会計総額が約122兆円に上る令和8年度予算案および税制改正の大要が語られた。

「成長型経済」への移行と直面する課題 

片山財務大臣は冒頭、日本の名目GDPが600兆円を超えて700兆円に近づいており、高い経済成長が続けば2040年頃には1千兆円程度の経済規模が視野に入ると展望した。賃上げ率が2年連続で5%を上回るなど、日本経済は長年の「デフレ・コストカット型経済」から新たな「成長型経済」へと移行しつつあるとの認識を示した。

一方で、人口減少という「静かな有事」や、物価高、戦後最も厳しい安全保障環境といった課題に直面しており、潜在成長力は伸び悩み、個人消費も力強さを欠いていると指摘した。こうした状況に対し、物価高対策を早急に講じるとともに、危機管理投資・成長投資による「強い経済」の実現、そして防衛力と外交力の強化が重要であると強調した。

高市内閣の「責任ある積極財政」 

財政方針について、高市内閣が掲げる「責任ある積極財政」は、いたずらに規模を追求するものではなく、先を見据えたプロアクティブな財政政策であると説明した。国民生活の下支えや経済成長に資する施策に重点化する一方で、効果の乏しい租税特別措置や補助金などは見直しを行うとし、ワイズスペンディング(賢い支出)を徹底する姿勢を示した。これにより、政府債務残高の対GDP比を安定的に引き下げ、財政の持続可能性と市場からの信認を確保すると述べた。

令和8年度予算の概要:プライマリーバランスは28年ぶりの黒字化へ 

令和8年度の一般会計総額は約122兆3100億円となり、前年度の当初予算から約7兆1100億円の増額となった。 歳入面では、税収等を約83兆7400億円と見込む一方、新規国債の発行額(公債金)は約29兆5800億円とし、2年連続で30兆円を下回った。これにより公債依存度は24.2%へと低下し、一般会計のプライマリーバランス(基礎的財政収支)は当初予算として28年ぶりの黒字化を達成するなど、財政規律に配慮した姿となっている。

歳出における主要なポイントは以下の通りである。

  • 社会保障関係費:市場価格を反映した薬価改定などで実質的な伸びを高齢化による増加分に抑制しつつ、診療報酬や介護報酬の改定を通じて現場で働く人々の処遇改善等に充てる。
  • 文教及び科学振興費:財源を確保しつつ、いわゆる「教育無償化」を実現する。また、中学校35人学級の実施や、AI・量子等の重要技術領域の研究開発を推進する。
  • エネルギー・産業対策:GX経済移行債を発行し民間投資を支援するほか、「AI・半導体産業基盤強化フレーム」に基づき、AI・半導体分野への支援に充てる当初予算を増額した。
  • 地方財政:地方の一般財源総額を適切に確保しつつ、臨時財政対策債の発行額をゼロにして健全化を図る。

税制改正:所得税の課税最低限を「178万円」へ引き上げ

令和8年度の税制改正では、物価高やいわゆる就業調整への対応として、基礎控除等を引き上げ、所得税の課税最低限を先取りして「178万円」まで引き上げる方針が示された。 また、強い経済の実現に向けて「大胆な設備投資促進税制」を創設し、賃上げ促進税制の見直しや研究開発税制の強化を行う。その一方で、極めて高い所得層に対する税負担の見直しや、「防衛特別所得税」の創設など、負担の公平性確保に向けた措置も盛り込まれた。

むすび

片山財務大臣は演説の最後に、日本経済が転機を迎え、名目GDPが拡大する中で物価や金利が上昇するという新たな状況に真摯に向き合う必要があると語った。将来世代へ希望が持てる日本を引き継ぐため、「強い経済の構築」と「財政の持続可能性」をバランス良く同時に実現することが我々の責任であると強調し、国会に対して予算案および関連法案の速やかな成立を求めた。

エポックタイムズの速報記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。
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