国家観を巡る論戦鮮明 参政党と高市政権 国会質疑で路線対立

2026/02/27 更新: 2026/02/27

令和8年2月の国会質疑で、参政党の神谷宗幣代表と高市早苗首相が交わした論戦は、日本の進路を巡る二つの国家観の違いを浮き彫りにした。参政党は多国籍企業やロビイストへの富と権力の集中に強い危機感を示し「日本人ファースト」を掲げて既存システムの抜本的見直しを訴えた。一方、高市政権は市場原理への過度な依存を修正する新たな産業政策を掲げつつ、国際経済秩序との調和を重視し「責任ある積極財政」による成長と分配のバランスを維持する立場である。対立軸は、既存路線の抜本的是正か、システムの根本的転換かに集約される。

国民負担率と減税で理論対立

経済・財政政策では、国民負担率や減税手法を巡り両者の立場が分かれた。参政党は5年を目途に国民負担率を35%に固定し、増税に頼らない成長を促すべきだと主張。輸出還付金制度を廃止して消費税1%減税の財源に充てる案を提示し、制度の不備を指摘した。これに対し高市政権は、数値のみでの議論は不適切として給付と負担のバランスを重視。輸出還付金は二重課税防止と国際的公平性の観点から不可欠とし、廃止は競争上不利になると否定した。所得税の基礎控除引き上げなどによる負担軽減を優先する考えである。

財源面では、参政党が教育国債の新設や約250兆円の「埋蔵金」活用、GX投資や国際機関拠出金などのゼロベース見直しを提案。これに対し政府は、官民連携の産業政策を通じて税率を引き上げずとも税収が自然増となる公循環を目指すとしている。

移民定義と外国人材で温度差

移民・外国人労働者政策でも対立が鮮明となった。参政党は国連統計に基づく「12か月以上の居住」を移民と定義し、社会分断や財政負担を理由に厳格な制限を求める。外国人労働者の賃金が日本人より低い現状を問題視し、日本人雇用と技能継承を優先すべきだと主張した。

これに対し高市政権は、一定規模の外国人と家族を期限なく受け入れて国家維持を図る政策は採用しないとしつつも、高度専門職相当の特定技能2号については人数上限を設けない方針を維持する。AIやロボット活用を進めながらも、将来の労働力として外国人を考慮すべき分野があるとの現実的判断を示し、新設した育成就労制度を通じて同等以上の報酬と適正処遇を確保するとしている。

少子化対策で手法に差

少子化対策では、参政党が教育国債を財源に0〜15歳へ月10万円を直接給付する案を提示し、日本人の子どもを増やすことへの集中投資を訴えた。子ども1人当たり1800万円の投資が将来的に1億円超の経済効果を生むとの試算を示している。

これに対し高市政権は「こども未来戦略・加速化プラン」を基軸とし、児童手当の所得制限撤廃や支給期間延長、多子加算の拡充に加え「子供誰でも通園制度」創設や柔軟な働き方推進など、多角的な支援策の拡充が個々の希望実現につながるとの立場である。

民主主義と社会課題でも見解分かれる

社会的課題を巡っても温度差が見られた。新型コロナワクチンを巡り参政党は死亡報告の過小評価を指摘して独自検証法案を求めたが、政府は科学的知見に基づき重大な懸念はないとし既存救済制度で対応すると説明した。政治資金では参政党が企業・団体献金の全面廃止を主張したのに対し、首相は各党間での丁寧な議論が必要との慎重姿勢を示した。

選挙制度を巡っては、参政党が投票時の本人確認義務化と演説妨害への厳罰化を求めたが、政府は期日前投票所で必要に応じ身分証提示を求めている実態を示しつつ、義務化は選挙権行使に関わるため慎重な検討が必要とした。高市首相は自身の演説妨害経験にも触れ、既存法に基づく適切な対応を求める認識を示した。

「国家運営のOS」巡る選択

今回の論戦は個別政策の差を超え、国家運営の基本理念を巡る対立の様相を呈した。参政党は反グローバリズムを背景に教育国債や上限設定などで生活基盤を作り直すシステム転換を提起する。一方、高市政権は国際標準の税制や支援制度を維持しつつ産業政策で成長と分配の公循環を図る修正主義を掲げる。

「失われた30年」と少子化という課題を前に、国際協調と既存ルールの最適化を続けるのか、主権再構築を志向する大胆な転換を選ぶのか。今回の国会論戦は、その選択を国民に突きつけた形となった。

エポックタイムズの記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。他メディアが報道しない重要な情報を伝えます
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