日本の急速な少子化と人口減少に伴い、外国人労働者の受け入れが大きな政治課題となっている。参議院法務委員会における参政党の安達悠司議員と近藤参考人の質疑では、日本の移民受け入れ政策の方向性と、西側諸国で顕在化しているグローバリズムに伴う移民問題の実態が論点となった。
日本政府は、将来的に総人口に占める外国人比率が10%台に達するとの予測を受け止め、中長期的な対策の検討を始めている。これに対し安達議員は、外国人に日本国籍を取得させることで統計上の外国人比率を下げるだけでは、元々の日本人の人口減少という根本的な構造問題の解決にはならないとして、強い疑義を示した。
近藤参考人は、人口減少社会における日本の対策として、「子どもが産みやすい環境作り」「ロボットやAIの強化」に次ぐ三本目の矢として、「外国人の受け入れ」が必要になるとの考えを示した。
外国人受け入れの上限規制や停止について、近藤参考人は「全くゼロにする鎖国のようなことは非現実的」としつつ、特定技能のような枠組みを広げ、目標に合わせて受け入れのペースを調整したり、速度を弱めたりすることは政策として可能だとの認識を示した。
質疑では、欧州諸国が直面している移民政策の行き詰まりと、グローバリズムへの警戒感も取り上げられた。
安達議員は、移民統合政策指数(MIPEX)で上位にランクインしていたスウェーデンを例に挙げ、移民の失業率が極めて高く、経済格差が拡大し、充実した社会保障制度の重荷となっている現状を指摘した。
安達議員によると、スウェーデンをはじめ、デンマーク、ノルウェー、フランス、ドイツなどの欧州諸国では、移民の受け入れを抑制するだけでなく、帰国を希望する移民に高額な給付金を支給してまで帰国を促す事態に陥っている。スウェーデンの場合、給付金は最大約500万円に上るという。
安達議員はまた、多国籍企業のロビー活動や国際機関の勧告など、民主的な選挙を経ない「グローバリズム」の圧力によって国のルールが変えられ、市場の開放や移民の受け入れが強制されることで、国民主権が脅かされているのではないかとの懸念を表明した。
これに対し近藤参考人は、欧州で問題化し、帰国を促されている移民の大半は「難民」であり、圧倒的に「労働者」を受け入れている日本とは状況が異なると説明した。
この欧州の事例と説明を受け、安達議員は、最初に甘く受け入れすぎた結果、後になって帰国を促す事態となれば双方にとって不幸であると指摘し、最初の段階で十分に審査し、厳格に対応することが大切だとして、初期段階での慎重な対応を求めた。
グローバリズムと国民主権の関係について、近藤参考人は、行き過ぎたグローバリズムが問題であることは理解しているとした上で、資源が乏しい貿易立国である日本にとっては、国際的に協調し、経済的にウィンウィンとなる関係を築くことが不可欠だと指摘した。
近藤参考人は、主権を優先してEUから離脱したイギリスが結果的に経済的なマイナスを被り、多くの国民が後悔しているとの事例を挙げ、グローバリズムを完全に否定することは日本にとって好ましくないとの見解を示した。
日本の今後の移民政策を巡っては、経済を維持するための労働力確保と国際協調という現実的な要請に応える一方で、欧州が直面したような社会分断や社会保障制度の崩壊を防ぐため、主権国家としての厳格なルール作りと適切な統合政策の舵取りが求められている。
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