欧州各国と日本 エネルギー市場安定へホルムズ海峡の安全確保に協力の構え

2026/03/20 更新: 2026/03/20

英国、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、日本は19日(現地時間)イランが封鎖している主要な原油輸送路であるホルムズ海峡について、安全な通航を確保するための支援を行う用意があると表明した。ドナルド・トランプ米大統領は同海峡の再開に向け、同盟国に協力を求めている。

各国は共同声明で、商船やエネルギーインフラに対するイランの攻撃、および重要な航路の実質的な封鎖を非難し、イラン政府に対し行動の即時停止を求めた。

各国はまた、世界のエネルギー供給の混乱が国際的な平和と安全への脅威となると指摘し、国際法の下で航行の自由が維持されなければならないと強調した。

各国首脳は、紛争の激化に深い懸念を示したうえで「イランに対し、脅迫、機雷敷設、無人機やミサイルによる攻撃、その他商船の通航を妨げるあらゆる行為を直ちに停止するよう求める。また、同海峡の安全な通航を確保するための適切な取り組みに貢献する用意がある」と表明した。

この声明は、イランがペルシャ湾一帯のエネルギーインフラへの攻撃を強化し、サウジアラビアとクウェートの製油所、カタールの液化天然ガス(LNG)施設を攻撃するとともに、同地域の船舶も標的としている中で発表された。

情勢の激化を受けて原油価格は急騰し、ブレント原油は一時1バレル=119ドル超、米国産ウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)も一時100ドルを上回った。市場では中東の供給リスクの高まりと、世界の原油取引の約5分の1が通過するホルムズ海峡の物流混乱への懸念が強まっている。

米国とイスラエルによる対イラン戦争の開始以降、イラン政府は敵対国やその同盟国と関係があるとする船舶に対し、同海峡での航行を妨害している。

トランプ米大統領、ホルムズ海峡で同盟国の関与を促す

海運データを追跡するロイズ・リスト・インテリジェンスによると、通常時にはホルムズ海峡を1日あたり約100隻の船舶が通過し、このうち約50隻が原油タンカーである。しかし、イランの封鎖により通航は大幅に減少している。イラン指導部は、この封鎖を原油価格を押し上げ、米国とイスラエルに攻撃停止を迫るための経済的手段として活用する考えを示している。

トランプ大統領は、NATO加盟国などに対し、ホルムズ海峡の再開とエネルギー市場の安定に向けて艦船を派遣するよう呼びかけているが、当初は支援の表明が乏しく、大統領は圧力を強めた。トランプ氏は3月18日、SNSへの投稿で「イランのテロ国家の残存部分を一掃し、この海峡を利用しているが米国は利用していない国々に責任を負わせた場合どうなるか」と述べ、同盟国の対応を促した。

北大西洋条約機構(NATO)のマルク・ルッテ事務総長は3月19日、加盟国がホルムズ海峡の封鎖への対応について集中的に協議していると明らかにした。ルッテ氏は「この海峡が閉鎖されたままであってはならず、できるだけ早く再開されなければならない。これは世界経済にとって極めて重要だ」と述べた。

ルッテ氏はさらに、同盟国が共通の利益のために必要な行動を取るとの見通しを示した。また、米国の対イラン作戦は欧州と中東の安全保障にとって重要であるとの立場を改めて示し、核武装したイランはイスラエルのみならず中東全体や欧州に対する直接的な脅威となり得ると指摘した。

欧州各国と日本は3月19日の共同声明で、支援の用意があると改めて表明し、他国にも行動を促した。

各国は、準備的な計画に取り組んでいる国々の関与を歓迎するとしたうえで、エネルギー市場の安定に向けた追加措置として、一部の産油国と連携して生産を拡大する取り組みも進めると表明した。

また各国は、海上安全保障と航行の自由はすべての国に利益をもたらすとし、すべての国家に対し国際法を尊重し、国際的な繁栄と安全の基本原則を維持するよう求めた。

イランの新指導者モジタバ・ハメネイ氏は今週、国営メディアを通じた声明で、ホルムズ海峡の封鎖を維持し、地域全体での攻撃を継続する方針を示した。

イラン、攻撃を強化

イランは3月19日、湾岸地域のエネルギーインフラへの攻撃を強化し、サウジアラビアの製油所、カタールのLNG施設、クウェートの2か所の製油所を攻撃した。これを受けて原油価格は急騰した。

これらの攻撃は、イスラエルが18日に世界最大級の天然ガス埋蔵地の一部であるイラン南パース・ガス田を攻撃したことを受けて行われた。イスラエルの攻撃に対し、イランは報復を表明し、イスラム革命防衛隊は湾岸地域の戦略的エネルギーインフラを「直接かつ正当な標的」とみなすと警告した。

イランのマスード・ペゼシュキアン大統領もイスラエルの攻撃を非難し「制御不能な結果を招き、世界全体を巻き込む可能性がある」と警告した。

イランはこれらの警告を実行に移し、サウジアラビア・ヤンブーのサムレフ製油所を攻撃し、クウェートの主要石油施設で火災を発生させたほか、カタールのLNGインフラも攻撃し、湾岸一帯の船舶も標的とした。エネルギー供給と海上交通の双方に対するリスクが高まっている。

影響は世界のガス市場にも波及し始めている。カタールエナジーは、今回の攻撃により輸出能力の約17%が停止したことを受け、最長5年間にわたり長期LNG契約で不可抗力条項の発動を余儀なくされる可能性があると明らかにした。

年間約1280万トンの供給停止が見込まれ、イタリア、ベルギー、韓国、中国を含む欧州およびアジア向け供給に影響が及ぶ可能性があり、市場の逼迫に伴いLNGの争奪が激化する恐れがある。

欧州のガス価格は南パース攻撃を受けて一時、日中で最大40%上昇した後に落ち着いたが、アナリストは紛争に伴う混乱が世界のエネルギー市場への衝撃を増幅させる可能性があると警告している。

イランはまた、ホルムズ海峡に対する支配を制度化する可能性も示唆しており、同水路を利用する船舶に通行料を課す法案を議会が検討しているほか、イランに敵対的または不利益な行動を取った国々のアクセスを制限する可能性のある「新たな仕組み」についても高官が言及している。

The Epoch Times上級記者。ジャーナリズム、マーケティング、コミュニケーション等の分野に精通している。
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