中東情勢とエネルギー危機 関係閣僚会議が打ち出した「日本の防衛策」

2026/03/25 更新: 2026/03/25

イラン情勢の緊迫化を背景に、日本がかつてないエネルギー危機に直面している。事態を重く見た政府は、令和8年3月23日に急遽「中東情勢に関する関係閣僚会議」の開催を決定し、情報の集約と国家の命運を懸けた対応に乗り出した。原油輸入の9割超を中東地域に依存する我が国にとって、この事態は決して対岸の火事ではない。国民生活や経済活動を守るため、現在何が起きており、政府はどう対処しようとしているのだろうか。23日に開催された「中東情勢に関する関係閣僚会議」の配布資料から読み解く。

 現在、イラン情勢の悪化により中東地域の緊張が極度に高まり、世界の石油輸出の約3割が通過するホルムズ海峡において通航見合わせが発生している。報道によれば、ペルシャ湾内には3千隻以上の船舶が滞留しており、日本関係の船舶も45隻が足止めされている状況だ。さらに、平時は1日約138隻が航行する同海峡の商業船舶航行数が、わずか1隻にまで激減している日もある。日本の原油輸入は9割超を中東に依存しており、その約9割がホルムズ海峡を通じて輸入されているため、この大動脈の機能不全は日本のエネルギー供給体制を根底から揺るがす重大な問題である。

 この事態は、国民生活と経済活動に多大な損失をもたらしつつある。実際に、3月16日の時点でガソリンの全国平均価格は1リットル当たり190.8円という歴史的な高騰を見せた。影響は燃料価格の上昇にとどまらない。プラスチックやゴム、電子部品などの原料となる「ナフサ」も、調達先の4割強を中東地域に依存しており、製造業を支えるサプライチェーンへの深刻な打撃が懸念される。さらに、現地での邦人の安全確保も切迫した課題であり、すでに政府手配のチャーター機などにより1160名の退避・出国支援を余儀なくされるなど、多方面への影響が顕在化している。

 この危機の本質は、単なる一時的な地政学的リスクの顕在化にとどまらず、日本のエネルギー供給構造が長年抱え続けてきた「過度な中東依存」という脆弱性にある。化石燃料のほぼ全量を海外からの輸入に頼りながら、原油輸入の9割超を中東に集中させ、さらにその輸送ルートの多くをホルムズ海峡に頼っている事実が、有事においていかに国益を脅かすかということが浮き彫りになったのである。

 この未曾有の危機を乗り越えるため、政府は短期的な防御策と中長期的な構造改革の両輪を進めている。まず当面の対応として、15日分の民間備蓄や1か月分の国家備蓄、さらには産油国共同備蓄の放出を率先して決定した。また、ガソリン小売価格を全国平均で170円程度に抑制するための緊急的な激変緩和措置を実施し、国民生活への打撃を緩和している。ナフサについても、約2か月分の川下在庫を活用しつつ、米国や南米など中東以外からの代替調達を進めている。さらに、国内で燃料が手に入りにくい企業などが出ている事態を受け、政府は石油を卸す元売・輸入事業者に対応を求めている。具体的には、これまでの取引関係や自社の系列にとらわれず、新規の取引先であっても分け隔てなく燃料を安定供給するよう要請した。

抜本的な解決に向けては、調達先や輸送ルートの多角化が急務である。具体的には、サウジアラビアのヤンブー港やUAEのフジャイラ港など、ホルムズ海峡を経由しない代替ルートからの調達拡大を進めている。また、日米首脳会談において高市総理からトランプ大統領に対し、米国産エネルギーの生産拡大や、米国から調達する原油の日本国内での共同備蓄事業が提案された。さらに、国際エネルギー機関(IEA)史上最大規模となる4億バレル超の協調放出を実現したように、今後もサウジアラビアやUAEなどの関係国と緊密に連携し、世界規模でのエネルギー市場安定化に向けた国際的な働きかけを継続していくことが不可欠であると同会議は位置づけている。

大紀元日本の速報記者。東京を拠点に活動。主に社会面を担当。その他、政治・経済等幅広く執筆。
関連特集: 国政