中国各地の水産市場で、活魚を運ぶ際に麻酔薬を使う行為が広く行われている。魚を一時的に動かなくすることで輸送を楽にするためとされるが、安全性への不安が広がっている。
この問題は以前から指摘してきたものだが、中国の国営テレビも市場関係者の証言を取り上げ、その実態を報じた。
重慶の市場では、運ばれてきた活魚は水中でほとんど動かない状態で届く、酸素を入れると再び泳ぎ出す。現場では「魚は眠っているだけ」と説明しているが、実際には薬剤によって動きを止めているとみられる。
こうした手法は最近になって突然現れたものではない。業界関係者の間では以前から広く行われてきたが、長年にわたり見過ごされてきた。
使われているのは、活魚をおとなしくさせるための液体で、多くが製造元や成分表示のない無許可製品だという。主成分とされる物質は医療や研究で使われることもあるが、長期間にわたって体内に取り込まれた場合、肝臓や腎臓に負担をかけると指摘している。
さらに一部の地域では、より強い効果を求めて工業用アルコールが使われているとの情報もある。体内に取り込まれる量によっては、失明や内臓への深刻な影響につながるおそれもある。
問題を深刻にしているのは、こうした物質が活魚の体内に残る点だ。完全に分解されるまでには時間がかかるが、その前に市場に出回るケースもある。消費者は見た目では判断できない。
背景には、制度のあいまいさがある。活魚への麻酔使用について明確なルールがなく、検査対象にも含まれていないため、現場では事実上見過ごされているとの指摘がある。
こうした問題は今回に限ったものではない。これまでも食品をめぐるトラブルは繰り返されてきた。食卓の安全が揺らぐ中、問われているのはモラルと責任である。
本当に求められているのは、利益よりも安全を優先するという当たり前の姿勢である。そうしたモラルが業界の中心に戻らない限り、中国の食卓から不安が消えることはない。
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