中国 情報遮断で見えない全体像

中国・武漢で無差別切りつけ 情報統制で実態不明

2026/04/01 更新: 2026/04/01

中国でまたも通行人を狙った無差別の襲撃が起きた。

3月31日午前、湖北省武漢の住宅や飲食店が並ぶ生活道路で、ナイフを持った男が突然、周囲の人々を次々と襲った。露店で買い物をしていた人や通りがかった人が狙われ、短時間のうちに複数の人が路上に倒れ込んだ。

ネット上に出回った動画によると、中年の男が刃物を手に、わずか数秒の間に犯行を繰り返していた。まず露店で商売をしていた男性を背後から刺して倒し、その直後に道路へ出て別の男性の腹部を刺し、さらに通りかかった女性にも切りつけた様子を確認できる。

現場では、倒れたまま動かない人や、血を流してうずくまる人が相次ぎ、その場で応急手当てが行われるなど、通りは騒然とした。

さらに目撃情報によれば、男は途中で刃物を持ち替え、複数回にわたって襲撃を繰り返したという。最終的には周囲の市民が取り押さえ、警察に引き渡した。

警察は、容疑者を「呉(44歳の男)」と発表し、現場から果物ナイフを押収した。しかし事件直後から、関連映像はインターネット上で急速に削除され、現場の状況は見えなくなった。

当局は「4人が負傷したが命には別条はない」と発表したが、現場では「7~8人が襲われた」とする声もあり、発表との間に大きな食い違いが出ている。公式発表の信頼性には以前から疑問の声があり、今回も犯行の動機は一切説明していない。

近年、中国ではこうした無差別の襲撃事件が各地で相次いでいる。

3月29日には北京市房山区の市場で、ショベルカーが人ごみに突っ込む凶悪事件が発生した。ネット上では10人以上が死亡したとの情報も流れた。さらに、ネットに流出した映像では、怒りの市民たちが車に物を投げつけ、よじ登って運転手を引きずり出し、暴行する様子も確認している。

また、3月26日には、広東省深圳市で1日のうちに2件の無差別切りつけ事件が起き、被害者の中には通学中の子供が含まれていた。

こうした社会への報復とみられる事件は各地で繰り返されているが、その多くの詳細は明らかにされないまま終わる。

いまや「社会への報復(中国語で『献忠』)」という言葉が、現代の中国を象徴する言葉の一つとして語られるようになっている。社会に渦巻く不満や行き場のない怒りは、今も消えることなく蓄積し続けている。

李凌
中国出身で、日本に帰化したエポックタイムズ記者。中国関連報道を担当。大学で経済学を専攻し、中国社会・経済・人権問題を中心に取材・執筆を行う。真実と伝統を大切に、中国の真実の姿を、ありのままに、わかりやすく伝えます!
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