中共・王毅が訪朝 時期は敏感 米中間の交渉カード握る狙いか

2026/04/10 更新: 2026/04/10

米国とイランが一時的な停戦に合意する中、北朝鮮が相次いでミサイル発射を行い、朝鮮半島の緊張は急速に高まっている。同日、中国共産党政権は外交部長の王毅が平壌を訪問すると発表した。来月に予定されるトランプ米大統領の訪中を前に、この訪問の意図について注目が集まっている。

中国共産党政権は4月8日、北朝鮮の外務省の招請に応じて、外交部長の王毅が4月9日から10日にかけて平壌を訪問すると発表した。王毅が訪朝するのは2019年以来で、およそ6年半ぶりとなる。

中共は今回の訪問について、「中朝関係の発展を推進する」ことが目的であり、双方は「伝統的に友好的な隣国」であると強調している。王毅は平壌で北朝鮮の崔善姫外相と会談しており、最高指導者の金正恩と面会する可能性もあると見られる。

しかし、この訪問発表の直前、平壌は複数の弾道ミサイルを連続して発射し、半島情勢を一気に緊迫化させている。

このような「先に緊張を作り出し、その後に外交を展開する」という手法は、中朝が連携して情勢を操作する際の常套手段とみられている。

王毅訪問の意図について、豪州在住の法学者である袁紅氷氏は、主に中朝が中東情勢および朝鮮半島戦略をめぐり協調するためだと分析している。

豪州在住の法学者 袁紅冰氏:「中国共産党の支援のもと、パキスタンが仲介役となり、米国とイランの停戦交渉を成立させた。それ以前、中共は北朝鮮を通じてイランにミサイルや無人機の重要技術や部品を供給してきた。このように交渉が始まった状況では、一定期間の調整が必要になる可能性がある。もう一つの目的は、中共と北朝鮮の対韓政策のすり合わせ、すなわち韓国に対する統一戦線工作を強化することだ」

一方、台湾国防部系シンクタンク「国防安全研究院」国家安全研究所の助理研究員・林志豪氏は、今回の訪問は習近平と金正恩の首脳会談に向けた地ならしである可能性が高いと指摘する。

台湾国防部系シンクタンク「国防安全研究院」国家安全研究所の助理研究員 林志豪氏:「王毅が前回平壌を訪れた際も、その直後に高官同士の会談が行われた。したがって今回の訪問も、米中首脳会談の後に予定される中朝首脳会談を促進するものだろう。この動きは、金正恩が今年打ち出した外交方針にも合致している」

実際のところ、中朝関係自体も近年微妙な変化を見せている。

2022年のロシア・ウクライナ戦争勃発後、金正恩はこれを機にモスクワとの関係を強化し、砲弾などの武器供与や部隊派遣まで行う見返りとして、ロシアから燃料や食料の支援を受け、西側制裁下での経済的困難の緩和を図ってきた。

これに対し、中朝関係には一時的に疎遠化の兆しも見られた。

林志豪氏:「安全保障以外の国益の観点から見ると、北朝鮮は一貫して中共の平壌への影響力を弱めようとしてきた。これは非常に明確だ。ロシア・ウクライナ戦争以降、北朝鮮はむしろ先にロシアとの戦略的友好関係を強化し、それを戦略的パートナー関係にまで引き上げた。そして露朝関係を通じて中朝関係を再調整しようとしている」

しかし、トランプ米大統領が5月の訪中を表明し、さらに金正恩との対話を再開させることに意欲を示したことで、中共は再び対北朝鮮関係の強化に動き、平壌への影響力の再確立を図っているとみられる。

昨年10月には、李強首相が代表団を率いて平壌を訪問した。

ロイター通信によると、中共は中朝国境における道路や港湾など複数のインフラ整備も拡大しており、その一部はこれまで公表されていなかった。

また先月には、中朝を結ぶ越境旅客列車が、6年の運休を経て運行を再開した。

林志豪氏は、中共が依然として北朝鮮というカードを利用し、対米戦略における主導権確保を狙っていると指摘する。

林志豪:「中共は朝鮮半島問題において、米国との関係の中で一定の主導権を握ろうとしている。また、中共独自の形で米朝首脳会談を実現させたい思惑もあるだろう。ただし、中朝関係は外から見えるほど単純に友好的ではなく、協議の議題も多岐にわたる可能性がある」と述べた。

トランプ氏と金正恩は過去に首脳会談を行っており、関係が大きく動き得る前例がある。このため、今後の米朝関係の行方は北京にとって重要な変数となっている。

専門家は、「トランプ氏と習近平の首脳会談が近づく中、北京は一方で北朝鮮の立場を見極め、他方で半島問題における自らの影響力を強化し、米中間の戦略的駆け引きにおける交渉材料を増やそうとしている」と指摘している。

新唐人
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