豪海軍 次期フリゲートに三菱重工案の「もがみ」型を採用

2026/04/20 更新: 2026/04/20

オーストラリア連邦政府が海軍の次期汎用フリゲート艦として、日本の三菱重工業が提案した「もがみ」型護衛艦の採用を決めた。日本にとっては過去最大級の防衛輸出案件となる。

2025年8月の採用決定に続き、2026年4月にはオーストラリア政府と次期汎用フリゲートの共同開発・生産に関する契約が締結される。計画には10年間で約9600億円(約65億ドル)が投じられ、全11隻のうち初期の3隻を日本で、残る8隻をオーストラリア国内で建造する予定だ。日本の安全保障体制やインド太平洋地域の戦略環境に多大な影響を及ぼす案件として注目を集めている。

競合のドイツ案を退けて「もがみ」型が選ばれた背景には、高い運用能力とコストパフォーマンス、日本の造船業への信頼がある。新型は対空・対艦ミサイルを発射する垂直発射装置(VLS)を備え、豪海軍の現行艦の4倍に当たる防空ミサイルを発射可能とされている。トマホーク巡航ミサイルの搭載も可能な規模を持ち、対潜能力にも優れる。米海軍の元高官からは、中国の新型フリゲートよりも「わずかに優れている」との評価も出ている。

省人化も大きな強みである。豪州の現行艦が170人の乗組員を必要とするのに対し、新型「もがみ」型は90人での運用が可能とされる。日豪共通の課題である深刻な軍の人員不足に対応する現実的な解決策として位置付けられている。パット・コンロイ国防産業相も、「コスト、性能、納期の順守の面で明らかな勝者だった」と評価しており、日本の造船所の技術力と納期通りに納品する信頼性が重視された。

今回の採用は、単なる装備品の輸出にとどまらない戦略的意義を持つ。オーストラリアにとって安全保障上の最大の懸念は、近隣地域での中国の軍事的な勢力拡大であり、今回の決定は中国の強硬姿勢に対する日豪の戦略的連携を明確にするものと位置付けられる。マールズ副首相は「世界でこれほど戦略的に連携している国はほかにない」と述べている。

将来的には、日豪合わせて35隻程度の「もがみ」型ファミリー艦が連携し、東シナ海、南シナ海、インド太平洋海域で活動することが期待されている。相互運用性の高い艦艇が連携してプレゼンスを示すことは、力による現状変更を試みる権威主義国家への抑止力になるとみられる。これにより、安全保障の枠組みは従来の「米国を中心とした関係」から、有志国同士が横につながる「スパイダーウェブ(クモの巣)」のような関係へと進化することが期待されている。

さらに今回の案件は、ニュージーランドやカナダなど他の英連邦諸国に加え、ASEANやインドへの防衛装備移転につながる可能性も持つ。日本が地域の安全保障において、より中心的な役割を担う足掛かりになるとの見方も出ている。

一方で、本格的な防衛装備移転の実施に向けた課題も浮かんでいる。オーストラリア国内で建造される4番艦以降については、現地造船所がステルス技術を用いた艦船建造の経験に乏しく、日本からの技術・現場指導が不可欠となる。しかし、日本の防衛造船企業には海外指導の経験が少なく、言語の壁を含めた対応が課題となる。

就役後の秘密保全をどう担保するかも課題である。部品の補給や突発的な修理への対応に加え、日本の有償援助(日本版FMS)などの仕組みの検討も求められている。最新鋭艦である以上、高度な運用教育も必要となり、自衛隊OBの活用を含めた教育・訓練支援の枠組み作りも問われる。

オーストラリア政府による「もがみ」型護衛艦の採用決定は、日本を主要な武器輸出国へと押し上げ、地域の安定に向けた同志国との安全保障協力を新たな次元へ引き上げる一歩となる。

エポックタイムズの記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。他メディアが報道しない重要な情報を伝えます
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