令和8年4月27日、高市総理大臣の主導により、第1回「総合的な国力から安全保障を考える有識者会議」が総理大臣官邸で開催された。本会議は、国家の命運を左右する国家安全保障戦略など「三文書」の改定を見据え、外交、防衛、経済安保、科学技術などの多様な分野の有識者を集めて行われたものである。
会議の主要テーマである「我が国を取り巻く安全保障環境の変化」と今後の対応について、公表された会議資料を基に以下の通り要約する。

現在、日本を取り巻く安全保障環境は、冷戦後の安定した秩序が過去のものとなり、かつてなく悪化・複雑化している。中国や北朝鮮による広範かつ急速な軍事力の増強、ロシアによるウクライナ侵略の長期化に加え、中露や露朝間の軍事連携が深化するなど、地政学的な国家間競争が激化している。さらに、ミサイル開発の進展のみならず、AI等を悪用したサイバー攻撃の巧妙化や、偽情報の流布を通じた影響工作(認知戦)など、平時からの脅威も極めて多様化しているのが現状である。
こうした複合的な脅威に十分な対応ができなければ、極超音速ミサイルなどによる防衛網の突破や、国家を背景とした高度なサイバー攻撃による重要インフラの機能停止を招き、国民の生命と財産が直接的に脅かされる事態となりかねない。また、特定国による重要資源の輸出規制などの「経済の武器化」や偽情報による世論操作は、社会の分断や国民生活・産業活動の麻痺を引き起こす。これは結果として、有事における自衛隊の継戦能力を根本から奪い、国家の主権や独立そのものが損なわれる甚大な危機をもたらす恐れがある。

これらの危機の根底にある本質は、現代の安全保障がもはや自衛隊の装備や活動といった「伝統的な軍事力」のみで完結するものではなくなったということである。AIや量子技術などの革新的な進歩が安全保障の決定的要因となっており、経済力や技術力がそのまま外交力・防衛力を決する時代へと突入している。また、ウクライナや中東情勢の教訓が示す通り、無人機(ドローン)などを活用した「新しい戦い方」への対応や、国民の理解と生活維持を前提とした「長期戦」に耐えうる社会全体のレジリエンス(強靭性)の確保こそが、真の抑止力と対処力の鍵を握っているのである。

このような極めて厳しい情勢を乗り切り、我が国の平和を守り抜くためには、防衛力の抜本的強化を主体的に進めるとともに、日本が持つ「外交力、防衛力、経済力、技術力、情報力、人材力」という6つの要素を有機的に連携させ、「総合的な国力」を徹底的に強化しなければならない。具体的には、研究開発力の向上、公共インフラの整備、サイバー防衛能力の強化、そして有事にも耐え得る防衛装備品のサプライチェーン強靱化など、政府横断的な取り組みと経済安全保障政策を強力に推し進める必要がある。優先課題を特定して効果的に資源を配分し、日米同盟や同志国との協力を深めながら、あらゆる政策手段を組み合わせて国家全体の対応力を引き上げていくことが不可欠である。
高市総理は、法の支配に基づく「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」を進化させつつ、一刻の猶予もなく我が国の体制を強化する必要があると強調した。本会議での多角的な議論は、今後の三文書改定に反映され、日本の総合的な国力を最大化するための実効性ある政策へと繋がっていくことが期待される。
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