大西洋航行中の客船でハンタウイルス集団感染 WHOがヒトからヒトへの感染の可能性を示唆

2026/05/06 更新: 2026/05/06

世界保健機関(WHO)は5日、大西洋を航行中のオランダ客船でハンタウイルスの集団感染が発生し、まれな「ヒトからヒトへの感染」の可能性があると発表した。現時点で乗客3人が死亡し、複数人が感染している。

一般にハンタウイルスはネズミなどのげっ歯類を介して感染し、汚染された空気を吸い込むことで感染するとされている。しかし今回は状況がやや特殊で、WHO専門家のマリア・ファン・ケルクホーフェ氏は、非常に密接な接触がある状況下ではヒトからヒトへの感染が生じた可能性があると述べた。ただし公衆全体へのリスクは依然として低いとも強調した。

現在、船内は厳格な管理下に置かれている。AP通信が入手した映像によると、船全体がほぼ封鎖状態にあり、乗客は客室内に隔離され、公共エリアはほぼ無人となっている。医療スタッフは防護服を着用し、小型ボートで船に乗降しながら患者の対応にあたっている。

この船は南極航路でアルゼンチンから出発していたが、感染発生を受けて西アフリカのカーボベルデ共和国が乗客の上陸を拒否したため、現在はカーボベルデ沖合に停泊したまま次の措置を待っている状況だ。船内には23か国から来た149人が乗船しており、全員が経過観察中だ。

ウイルスの発生源については、今回は「アンデス株(Andes strain)」の可能性があるとの初期判断が出ている。アンデス株はヒトからヒトへの感染が確認されている唯一のハンタウイルスとして知られており、主に南米で確認されており、今回の航路の出発地域と一致する。

現時点での症例数は確定・疑い例合わせて7件で、重症患者数人がすでに転送の準備が整っており、集中治療室に収容されている患者もいる。

船の次の目的地はまだ確定していない。スペインのカナリア諸島への寄港の可能性も取り沙汰されているが、スペインは正式な申請をまだ受け取っていないとして、さらなるデータを待って判断すると述べた。

米疾病管理予防センター(CDC)の資料によると、このウイルスには現在ワクチンも特効薬もなく、補液・安静といった支持療法に頼るしかなく、重症例は人工呼吸器が必要となる。予防が引き続き最重要であり、げっ歯類との接触を可能な限り避けることが感染リスク低減の鍵となる。

関連特集: 国際