米最高裁 対中関税を維持 トランプ関税と通商法301条・307条の争点

2026/06/17 更新: 2026/06/17

米連邦最高裁は輸入業者の上告を受理せず、トランプ政権の対中関税を支持した控訴審判決が確定した。通商法301条・307条の解釈と大統領の関税修正権限が焦点となり、数千億ドル規模の関税が維持される。

アメリカの連邦最高裁判所は6月15日、輸入業者による上告を受理しないと決定した。これにより、2025年に連邦巡回控訴裁判所が示した判断が確定し、トランプ大統領の第1期政権時に中国製品に課された輸入関税は引き続き有効となる。対象は数千億ドル規模(数十兆円規模)に上る。

また最高裁は、大統領による関税の修正権限について、新たな制限は設けなかった。

争点は通商法301条と307条の解釈

今回の主な争点は、「1974年通商法」第307条の解釈である。アメリカ政府はこれまで、同法第301条に基づき、不公正な貿易慣行への対抗措置として関税を課してきた。一方、第307条は大統領に対し、アメリカ通商代表部(USTR)を通じて、既存の関税を事後的に修正または終了する権限を認めている。

原告となったのは、HMTX Industriesなどの床材メーカーや電子関連企業である。これらの企業は、トランプ政権が第307条を用いて第301条の手続きを事実上回避し、関税の対象を拡大したと主張している。

具体的には、当初500億ドル規模(約7兆円)だった対象を、3,700億ドル規模(約52兆円)にまで拡大したことは、法律で認められた範囲を超えていると訴えた。

輸入業者側の弁護士は上告申立書の中で、「議会は、この限定的な修正条項のもとで無期限の貿易戦争を開始できるほどの広範な権限を付与していない」と主張している。

また、修正権限は「小幅または適度な変更に限られ、根本的な変更は認められない」とし、関税拡大の可否について裁判所が判断すべきだとしていた。

これに対し、連邦巡回控訴裁判所は2025年9月、「修正」という文言には変更の程度に関する制限は含まれていないとして、原告の主張を退けた。

トランプ政権と米政府の見解

これに先立ち、トランプ政権は最高裁に対し、控訴裁の判断を支持するよう求めていた。中国が報復措置を取った後に関税を修正した対応は、議会の立法趣旨に沿うものだとしている。

アメリカの訟務次長、D・ジョン・サウアー氏は、「これ以上に明確に法律の授権に基づく行為を想定するのは難しい」と述べた。

海外メディアは、今回の最高裁の判断について、トランプ政権にとって追い風となる可能性があると分析している。

現在、アメリカ政府は、トランプ氏が昨年「国際緊急経済権限法」(IEEPA)に基づいて導入した関税に代わる措置として、別の法的根拠による関税の導入を検討している。

このほか、アメリカ通商代表部は、強制労働対策が不十分だとして、60カ国からの輸入品に最大12.5%の関税を課す案を示している。

無党派団体「責任ある連邦予算委員会」によると、これらの関税と鉄鋼・アルミニウム関税の調整を組み合わせることで、最高裁が関税を無効とした場合に生じる財政損失のおよそ半分を補えるとしている。

陳霆