英国 政治献金の抜け穴封じへ 中露イランの干渉リスクを警戒

2026/07/07 更新: 2026/07/07

イギリス政府は、今年3月に政治資金改革の第1弾を発表したのに続き、7月6日、外国資金による政治的影響を防ぐための追加措置を導入すると発表した。柱となるのは、海外在住を経てイギリスに帰国した個人による高額献金の制限、企業献金の資格審査の厳格化、候補者の選挙資金の透明性向上の3点である。

英住宅・地域社会・地方自治省は声明で、今回の改革案は、独立報告書「ライクロフト・レビュー」に対する政府の包括的な対応に基づくものだと説明した。資金提供を通じた外国勢力の政治介入を防ぎ、選挙の公平性と民主制度への信頼を一層守ることを目的としている。

3つの改革で政治献金の抜け穴をふさぐ

第一に、これまで海外からの政治献金に設けていた10万ポンドの上限は、海外投票登録をしている有権者にのみ適用していた。新制度では、海外在住を経てイギリスに帰国した個人についても、少なくとも1年間は同じ上限を適用し、規制逃れを防ぐ。

第二に、企業による政治献金の審査基準も厳格化する。今後、企業が政治献金を行う資格を持つかどうかは、売上高ではなく、過去5年間の税引き後利益を基準に判断する。これにより、実体のある事業活動と納税実績を確認し、ペーパーカンパニーが政治献金の受け皿として使われるリスクを抑える狙いがある。

さらに、今回初めて、候補者には正式な立候補前に得たすべての選挙資金について、合法的な資金源からのものだと証明することを求める。また、正式な立候補前に受け取った2230ポンドを超える献金については申告しなければならない。

現行制度では、正式な立候補前に受け取った政治献金について申告義務はない。新制度はこの規制上の抜け穴をふさぎ、選挙資金の透明性を高めるものとする。

報告書 中露イランによる政治干渉リスクを指摘

今回の改革は、イギリス政府が今年3月に発表した政治資金改革の第1弾を補完するものだ。当時、政府は海外有権者による年間政治献金の上限を10万ポンドに設定するとともに、包括的な監督体制が整うまで、暗号資産による政治献金を禁止すると発表していた。今回は「ライクロフト・レビュー」の残りの提言を全面的に受け入れた形である。

「ライクロフト・レビュー」は、イギリス政府の委託を受け、元高級官僚のフィリップ・ライクロフト氏が主導してまとめたものだ。イギリスの政治資金制度が、外国勢力による干渉リスクに十分対応できるかを検証した。

同報告書は、ロシア、中国共産党(中共)、イランを外国干渉リスクの主な懸念対象として挙げている。これらの勢力は、政治献金、代理人、ペーパーカンパニー、その他の不透明な手段を通じて、イギリス政治に影響を及ぼすと指摘した。また、デジタル決済や暗号資産の急速な普及も、政治資金の監督に新たな課題をもたらしている。

今回の改革は、外国による政治干渉への懸念が近年、イギリス政府内で高まっていることも示している。政府は「ライクロフト・レビュー」の実施について、変化し続ける外国干渉の脅威に対応し、政治資金制度を全面的に点検するためだったと説明している。

近年、イギリスで注目を集めた外国勢力による政治干渉の事例には、元欧州議会議員で英国改革党のウェールズ地域元代表だったネイサン・ギル氏がロシアから賄賂を受け取った事件や、イギリス在住の弁護士クリスティン・リー氏が中共のために政治的影響力工作を行った疑いの件などがある。これらも、当局が政治献金制度の見直しを進める重要な背景となっている。

「民主主義は売り物ではない」

スティーブ・リード住宅相は、イギリスの民主主義は「売り物ではない」と述べた。新たな措置により制度上の抜け穴をふさぎ、疑わしい資金が政治システムへの流入を防ぐとともに、外国資金による選挙干渉を阻止し、民主制度と選挙の公正さを守るとしている。

サマンサ・ディクソン民主主義担当相は、イギリスの民主的手続きに関わる大多数の人々は規則を守っているとしたうえで、変化し続ける新たな脅威に制度も対応しなければならないと述べた。改革は、外国資金に利用される制度上の不備を是正し、政治資金の透明性を高め、民主制度に対する国民の信頼をさらに守るものだとしている。

ダレン・ジョーンズ首席首相秘書官は、政府は外国資金が制度の抜け穴を利用してイギリスの民主主義に影響を及ぼすことを防ぐと述べた。いかなる人物にも、イギリス政治への影響力を「買う」ことは許さないとしている。

イギリス政府によると、関連する改革は修正案として「国民代表法案」に盛り込まれ、7月中旬に下院で報告段階の審議に入る見通しである。

王君宜
王君宜
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