中国 パスポート預かり、行き先報告

夏休みでも自由に旅行できない中国教師

2026/07/14 更新: 2026/07/14

いよいよ夏休み。「どこへ旅行しようか」と計画を立てている人も多いだろう。しかし、中国では自由に海外旅行へ行けない人が増えている。公務員や国有企業職員だけでなく、一部の教師も厳しい行動管理の対象となり、市外への旅行には届け出、海外旅行には事前審査、勤務先がパスポートを預かるケースまである。

中国の検閲情報を記録・公開するアメリカ拠点の中国語メディア「中国数字時代」は今月、一部の学校で教師に「離城届」の提出を求めている実態を紹介した。旅行先や日程、連絡先などを記入し、学年主任や副校長らの承認を受ける仕組みで、隣の省へ数日旅行するだけでも届け出が必要だという。

本紙が現地で取材した湖南省衡陽市の地域管理組織(社区)の関係者も、「夏休みになると、教師の行動を把握するよう上級機関から指示が出る。コロナ禍の管理方法が今も続いている」と話した。武漢大学社会学院の呂徳文教授も、感染対策の必要性はなくなったにもかかわらず、学校や行政機関では外出届や承認手続きだけが残っていると指摘している。

海外旅行への規制はさらに厳しい。本紙が取材した北京の内部関係者は、「公立学校の教師や公務員の一部は、パスポートを勤務先が保管している。海外へ行くには学校や教育当局の許可を受け、返却してもらわなければならない」と話した。また、教師が夏休みに市外へ出る際の届け出に加え、自宅に来客が宿泊する場合も身元登録などを求めるケースがあるという。

地域によって運用にも差がある。湖南省の一部では、教師の海外渡航は「親族訪問」「治療」「留学」「葬儀」などに限られ、観光旅行は認められていない。一方で、同じ省内でも寒暑休み中の海外旅行を認める地域もあり、対応は一律ではない。

一方、中国教育省は2025年、「教師の負担軽減」を掲げ、休日や夏休みの当番勤務の見直しや、不要な書類・写真・行動記録の提出を減らす方針を示した。しかし現場では、コロナ禍に導入した外出管理や届け出制度が今も続いている。

本紙の取材に応じた湖南省の弁護士は、中国の「パスポート法(護照法)」では裁判所や公安当局などを除き勤務先がパスポートを預かることは認められておらず、公立学校などで続く一括管理は法律に反するとの見解を示した。

公務員や国有企業職員、AI技術者、そして教師。理由はそれぞれ異なるものの、海外資産への監視も強まる中国では、「自由に国外へ出る」という当たり前の権利が、さまざまな形で少しずつ狭められている。

李凌
中国出身で、日本に帰化したエポックタイムズ記者。中国関連報道を担当。大学で経済学を専攻し、中国社会・経済・人権問題を中心に取材・執筆を行う。真実と伝統を大切に、中国の真実の姿を、ありのままに、わかりやすく伝えます!
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