中共、オフショア信託への課税ルール施行へ 富裕層の資産管理にさらなる締め付け

2026/07/27 更新: 2026/07/27

中国経済が低迷し、各級政府が深刻な財政難に直面する中、中国共産党(中共)当局はあらゆる手段で財源の確保を進めている。今回、オフショア信託に対する課税ルールも正式に明確化された。専門家は、北京による民間企業経営者や富裕層への監視と締め付けは、今後さらに強まるとの見方を示している。

中共財政部と税務総局は7月24日、「オフショア信託に関する個人所得税事項についての公告」を発表し、同日付で施行した。公告はオフショア信託を正式に課税対象に組み込み、信託の設定、存続、終了の各段階で納める個人所得税について詳しく定めている。

オフショア信託は長年、中国の富裕層に好まれる資産管理手段となってきた。信託の設定先としては、ケイマン諸島、英領バージン諸島、クック諸島、香港などが一般的だ。

近年、中共は財政不足を補うため、民間企業への締め付けや汚職官僚の財産没収などを通じ、財源確保の動きを強めている。

大紀元のコラムニスト、王赫氏は「中国全体の財政不足は深刻で、政府は思うように税収を確保できていない。そのため、富裕層の中でも最上位に位置する人々、特に高所得・高純資産層に目を向け、課税を強化している」と述べた。

中国の富裕層は資産を守るため、相次いでオフショア信託を設立してきた。その総額は数千億ドルに上る可能性がある。信託財産には、預金、証券、不動産、土地、株式、現物資産のほか、特許権などの無形資産も含まれる。

中国メディアの集計によると、2018年の時点で、香港に上場する中国企業の経営者少なくとも15人がオフショア信託を設立していた。アリババ創業者の馬雲氏、拼多多創業者の黄崢、小米創業者の雷軍、海底撈創業者の張勇、龍湖集団創業者の呉亜軍、京東集団創業者の劉強東らが含まれる。

王赫氏は「中共が今回こうした措置を講じたことは、中国の民間企業経営者が海外で資産を保全する手段を封じることを意味する。富裕層の資金の動きや、海外に設立したオフショア信託を含む資金の流れを、全面的に把握し、厳しく管理しようとしている」と指摘した。

中共は近年、民間企業経営者や富裕層の政治的影響力を弱める一方、経済面でもその資産に対する管理を強化してきた。多くの富豪が拘束されたことから、中国の富豪ランキングは皮肉を込めて「当局の標的リスト」とも呼ばれている。

王赫氏「中国では、この問題をめぐって特有の政治的環境と政策の方向性が形成されている。現在の状況を見る限り、この流れが逆転する可能性は低く、今後さらに厳しくなるだろう」との見方を示した。

中共は2024年以降、海外所得への課税を強化している。これにより、2025年の個人所得税収入は前年比11.5%増となった。一方、同年の中国全体の税収の平均増加率は0.8%にとどまった。

2026年に入ってからは、各地の税務当局がオフショア信託を対象に、20%の追徴課税を始めたとの情報が相次いでいる。

中国資本市場に詳しい徐真氏によると、北京は今回の措置を通じ、富裕層が海外に保有する資産の実態を把握し、管理しようとしている。資産の名義上の所有者、実質的な支配者、受益者などを明らかにすることで、税収を増やし、資産の海外流出を制限するとともに、富裕層に当局の要求に従うよう圧力をかける狙いがあるという。

新たな規定は、主に4つの層に影響を及ぼすとみられている。

徐真氏は「第1に、最も大きな影響を受けるのは、インターネットプラットフォーム企業の創業者だ。第2は不動産企業の経営者、第3はすでに海外へ移住した高純資産層と超高純資産層、第4は大手民間製造業の経営者だ。近年、こうした人々の多くがオフショア信託を利用して資産を管理している」と分析した。

中共財政部の公告によると、2023年1月1日以降にオフショア信託を設定した個人は、規定に従い、信託の設定段階で生じる税金を納めなければならない。税額が大きい場合、税務当局は追徴できる期間を延長できるとしている。

過去の年度に分配された収益については、一括して計算した上で、全額を「利子・配当所得」として申告し、納税する必要がある。対象となる個人は、公告の施行日から90日以内に税金を納めなければならず、期限を過ぎた場合は処罰の対象となる。

 

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