草庵居士:中国の金融界はなぜ中国の未来を破壊するブラックホールなのか (七)

2005/06/16 更新: 2005/06/16

【大紀元日本6月16日】著名な政治経済評論家草庵居士は、4月3日、大紀元北カリフォルニア支部主催で、サンフランシスコ・ベイエリアにて行われた第13回“九評共産党”シンポジウムに出席し、「中国の金融界はなぜ中国の未来を破壊するブラックホールなのか」と題する講演を行った。

現在パンアメリカンキャピタル副会長兼CEOである草庵居士は、講演において、中共当局が発表した経済指標を用いて、中国経済がなぜ、表面的には繁栄し、実際には至る所に危機を内在しているのかについて分析を行った。

草庵居士によると、まず、中国経済は不均衡な発展をしており、70%が外需に依存している:郷・県・省3級の政府の財政赤字はGDPの70%になっており、銀行の不良債権は全国の営業利益(年ベース)の20倍である:さらに、銀行の不良債権の内幕は驚異的であった。

「中国建設銀行の現在の行長である郭樹清の話を引用すると、中国の銀行界にはシステム的なリスクが出現しており、このシステム的リスクについて、少しでも注意を怠れば、中国の金融システム全体は直ちに崩壊するであろう」と草庵居士は述べた。

草庵居士はまた、中共が膨大な支出を補うため、如何に紙幣を乱発し、株式市場の下落をもたらし、インフレと人民元の減価をもたらしたのかを分析した。彼の指摘によると、人民元の減価は、民衆の血と汗で中央財政の穴を埋め合わせるものである。

次の内容は、草庵居士のスピーチにより記録したものである。

上海の不動産税はアメリカの3倍近く

中国は現在不動産税を徴収しており、上海では税率が3%となっています。私は、米国ではカリフォルニアの税率が最高で、1.2%です。しかし、上海は3%です。例えば、上海で一棟50万円の住宅を買った場合(現在、上海で50万元の住宅は買えなくなっている模様)、15000元の不動産税を支払う必要があり、一月あたり1200元余りを負担する必要があります。

民衆は住宅購入時に二重の税負担

不動産税について、中国大陸では、住宅用不動産の開発に際し、都市建設税、土地調節税、耕地占用税など6種類の税と1つの費用を支払います。これらを納めた後に、民衆が住宅を購入する際にも再度不動産税を徴収されるのです。

米国において、土地の価値が存在しない場合、住宅は減価償却されます。例えば、米国でモービルハウス(移動型住宅)を購入した場合、この住宅価値は減価償却されます。皆さんが何年か住んだ後、償却後の価値はゼロになります。しかし、土地が存在する場合は事情が異なります。土地の価値は増加していきます。だから、サンフランシスコであろうが、カリフォルニアであろうが、アメリカでは住宅自体の価格は値上がりしません。土地の価値が上昇しているのです。

負担すべき税金を計算する時、モービルハウスは資産となり、資産税の計算が必要になります。しかし、土地が存在する場合、土地税を計算する必要があります。中国大陸の土地は私有ではなく、公有でして、70年間借りることしかできません。この 70年分の賃貸料は、一度に全額徴収されます。米国において、もしブッシュが70年分の賃貸料を一度に徴収すると言えば、一週間で失脚するでしょう。

中国大陸では、70年分の賃貸料を徴収された後に不動産税を負担しなければなりません。この土地は中共のものですから、税務当局は中共から土地税を徴収するべきです。中共は自分で税金を払うべきですが、税務当局は民衆に負担させています。これは、法律上、司法プロセス上ふさわしいことではありません。

蘇州、重慶の土地は全て売却された
(売却=厳密には土地利用権の売買)

こうした状況から、非常に多くの問題が発生しています:経済の低迷によって株式市場が下落し、不動産市場が高騰した後に不動産税を徴収しようというのです。

中共はこのようになっています。地方政府の財政は土地の売却収入に依存していますが、土地の売却収入は財政予算には計上されませし、使用に制限がありません。だから、自由に建設ができます。表面的な「様子工程(イメージ優先のプロジェクト)」もうまく進めることができます。

しかし、土地には限りがあります。土地を売り尽くした後はどうするのでしょうか?蘇州では、土地が全て売却されましたし、重慶も同様です。江蘇省長は、それでも光栄そうにこう述べています:「我々は、次のことを光栄に、世界に宣言したい。江蘇省に国有企業が一つもなくなった。なぜなら、我々が全てMBOし、分割したからである」。

分割に際し、私たちはいつ分割されたのかわかりません。いずれにせよ、一年前に全てをMBOしたと宣言したのです。江蘇省は、国有企業が一つもない唯一の省です。重慶もこう言っています:「我々重慶市の土地は全て開発し尽くし、売るべき土地がなくなった。だから、我々は土地価格の上昇を待たなくてはならない。「

土地を売り尽くし、財政にお金がなくなれば、その次は徴税です。だから、中央と地方は大きな競争をしています。皆さんは注意を払っているかどうかはわかりませんが、全人代の後、土地税の徴収に関して、国内の新浪ネットでは、抗議の書き込みが何万もありましたが、毎日削除されています。しかし、削除しても、一日経てばまた何万も書き込みが行われています。

しかし、この問題について、中央はこのように説明しています:「不動産税は地方政府の重要な財源で、国際的に見て当然の話である」。これが意味していることは、財政収入の面で、中央と地方のバランスがとれなくなっているということです。中央は地方に交付する資金がありません。既にその余裕はなくなっています。一方、地方が土地を売ろうにも、その土地は枯渇しています。財政に問題が起こり、中央に資金を求めてきた場合、中央はどうするのでしょうか?だから、地方に不動産税を徴収させ、地方の財政支出に充てさせるのです。これは、表面上目にすることはできませんが、実際のところ、中央政府と地方政府との間における財政資源の配分上、大きな矛盾の焦点となっています。

だから、上海市市長は、現在ずっとこう叫んでいます:「我々の住宅価格は下落しない。上海は国際都市であるが、ニューヨークやシンガポールと比べて住宅価格はまだかなり安いのである!「しかし、上海の価格はニューヨークよりも高いです。マンハッタンで、最も高い物件になれば非常に高いことは知っています。しかし、平均すると、マンハッタンの住宅は、1平方フィートあたり1600ドルを超えることはありません。上海の1平方メートル20万元のようにはなりません。なお、1平方メートルは約9平方フィートになります。考えてみて下さい、20万人民元は2万ドル余りですから、これは非常に高い価格です。

株式市場を救済するために退職年金、社会保障基金、銀行ファンドを投入?

こうした状況の下、中共は、現在財政問題に直面しています。考えてみて下さい。中国の株式市場は下落を続けています。かつては、中共が、強気を喚起する新たな政策を打ち出す度に市場が反発していました。中国の株式市場は、このような、下落、上昇、下落、上昇というサイクルを繰り返しており、これが趨勢となっていました。しかし、今回、中央はいくつかの重要政策を打ち出しました。国九条の後に温家宝は温六点を発表したわけですが、ここで彼は、退職年金すなわち企業年金、社会保障基金、銀行ファンドを株式市場に投入すると述べました。

皆さんご存知のように、米国では、銀行ファンドは自由に株式市場に投資しできません。特に、エンロン事件以後、厳格な制限を受けています。社会保障基金もまた自由に投資できず、分散して投資を行わなければなりません。エンロン事件以後、こうした制限が非常に厳しくなっており、企業年金の管理はさらに厳格となっています。自由に株式市場に参入できなくなっており、1社であれ投資することもできません。ここには、非常に厳しい規定があるのです。しかし、中国大陸においては、政府が市場を救済するために自らの資金を市場の費やした後に、こうした、最も重要な資金を投入してしまったのです。

考えてみて下さい。私が銀行に預金して、なぜ銀行がそのお金を株式市場に投入するのでしょうか?私が直接株式を買えばそれで良いのではないでしょうか?銀行に預金するのは保険のためであって、損を出すことはできません。そうでしょう!?私が銀行に預金をして、銀行が私を手助けしてお金を株式市場に投入したが、結果は自分で株を買った方がましだった、こんなことで、銀行が私よりも賢いなどとどうして言えるのでしょうか?

中国大陸はこうした間抜けな施策を打ち出し、銀行ファンドに預金を株式市場に投入させました。投入された資金は1000億元余りでしたが、株式市場は反発せず、更に下落していきました。当時は、皆さんご存知のように、1267ポイントが大きなカギと言われていましたが、3、4日で崩れてしまいました。その後、1192ポイントがカギと言われていましたが、これも崩れてしまいました。

最近、非常に不思議なことが起こっています。中共は、国九条といった多くの施策を打ち出していますが、国九条が出ると、株式市場はすぐに1300ポイントを割りました。温六点に到っては、再度崩れて1200ポイントを割りました。私の予想として、今後胡九点といった施策を出しても、株式市場はまた下落するでしょう。民衆は自信を失っているのです(会場より:中共の株式市場は実質的に1000ポイントを割っています、こうした報道はありません)。

そのとおりです。報道されていません。株式市場は非常に低いところまで下がっており、数ポイント、数十ポイント戻しているにすぎません。こうした状況、経済の状況は直接投資家の自信を動揺させています。

この点について、温家宝は非常に焦っており、自ら全人代で次のように述べました。皆さんも報道を見られたことでしょう:「我々中央は、我々に誤りがあったことを認め、皆にお詫びをするべきである。株式市場の改革は今後も続ける必要があり、皆に自信を持ってもらうべきである。「

自信を持つ?自信がどこにあるのでしょうか?私が投入した2万元が、数年で700元も残っていない、これではだめです。皆が株式市場で損を被っているのです。

中国政府に市場を支える術はない

だから、中共政府には、既に市場を支える資金がなくなっています。ある人は、草庵居士がほらふきで、おかしな話をしていると言います。では、そのおかしな話をもう一つしますと、今年の年末、中国株式市場は800ポイントを割ります。中央政府には投入すべき資金はありません。なぜでしょうか?この話には次のような根拠があります。

この根拠は誰が話したのでしょうか?項懐徳氏(社会保障基金理事長)です。彼は、私がサンフランシスコに来る3日前に、このような話をしました。「中国の社会保障基金は金融市場で運用すべきである」。

私は、彼のこの話を聞いて不思議に思い、彼に電話してこう尋ねました「あなた方がこう述べた意図は何でしょうか」。

彼はこう答えました。「中国を救うのです。社会保障基金をやっとのことで3000億元集めましたが、市場に投入した1000億は全て塩漬けになりました。民衆は非常に利口で、私たちが資金を投入したのを見ると、すぐに売り逃げしてしまいました。しかるに、これは民衆が生きていくためのお金であり、私は現在これを管理しています。もし、問題が起これば、13億の民衆一人一人が私に斬りかかってくるでしょう。彼らの元手、生きるための元手が失われるのです。中央がまた何を言おうが、私はもうお金を奪うようなことはできません。私は、残った2000億元を全て海外に持っていきます「。

また、彼は次のように言いました。「これは政策上のミスで、どうしようもありません。民衆の退職年金が我々のもとにあり、時期が来ても取り崩して彼らに与えることができなければ、あなたは私を民衆に対する犯罪者だと言うのではないでしょうか?」彼は、現在2000億元余りの資金を海外市場に出そうとしているのです。

以上を踏まえますと、中共政府にどんな資金があるのでしょうか?民衆の銀行預金は、皆ファンドが組まれて株式市場に投入されようとしていますが、政府の資金はどこにあるのでしょうか?政府に資金があるというのならば、政府はなぜ国債を発行する必要があるでしょうか?政府は本当に資金が尽きているのです。

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