【大紀元日本1月11日】中国北西部陜西省の西安市で1月8日、退役した軍人幹部約2千人が、医療・住宅などにおける差別的な待遇格差に抗議し、抗議者の一部が省政府を襲撃する事件があった。当局は大量の武装警察および公安を出動させ、抗議者らと衝突し、抗議者から負傷する者が続出した。官製メディアの報道によると、67歳の男性負傷者は病院へ運ばれる途中に死亡したという。同日、省政府庁舎前に集合する直訴者が相次いだため、警察はヘリコプターまで出動させ厳戒警備体制に入った。
現場の目撃者・劉さんによると、「現場に着くと、抗議者の一部はすでに省政府の門を突破して敷地に入っていた。大勢の武装警察や公安がおり、抗議者らを阻止していた。人が殴られて死んだとの叫び声が聞こえてから、救急車が到着し、群衆の中から衰弱した老人の抗議者が支えられて救急車に乗った」と語った。
抗議者らは省政府前の両側に「趙書記・袁省長に会わせろ」「退役軍人の転職政策の実行を強く要求、法律に則り速やかに行え」「退役した軍人幹部の転職待遇を改善せよ」など十数の横断幕を掲げて訴えた。
情報筋によると、抗議者らは西安、渭南、咸陽、宝鶏などの各地から集まったもので、50~60年代に軍隊に入隊し、朝鮮戦争に参加した60歳~80歳以上の退役軍人である。陜西省では約4~5万人の退役後転職した軍人幹部がいるという。
毛沢東時代では軍隊の幹部らが社会階級の特権層とされ、一般大衆より高い収入と優遇された生活福利を与えられていた。軍を退役した幹部らが、地方へ転職しても地方政府または国営企業で重役に任命されることがほとんどだった。しかし近年、企業に転職した退役軍人幹部らは、企業が不景気または倒産、組織改編などの理由でしばしばリストラされ、または普通の工員などに配属され、現在毎月わずか1300元(約1万7千円)の退職金で生活を賄っており、さらに社会保険などの基本的な保障がない中国では、医療の保証もなく、さらに住宅などの問題も多く抱えているという。軍隊から退役した際、国から国家幹部の身分と待遇を保障されたが、現在はそうした待遇の保障もなく、一般人よりも厳しい生活を強いられている。
抗議に参加した元軍人幹部は、「われわれよりもっと早く入隊した軍人、またはわれわれより遅く軍隊を離職した軍人で企業に転職していない幹部らは、全員われわれより良い待遇を受けている」と訴えた。直訴はすでに4年以上を続けているが、問題は解決していないという。
今回の抗議者よりも早く入隊した元軍人幹部らは、「離職休養制度」により地方へ転職したため、支給される離職休養費だけでも退役転職軍人の2~3倍があり、医療費も全額保証される。また、抗議者らよりも遅く軍隊から退役した同階級の後輩たちも、2000年からの政策より、支給された住宅手当を受けて、医療保険に入ってから退役することになっている。離職してからも在職時の給料の90%が一生支給される上に、増額改定も認められるという。
陜西テレビ局の元経済情報編集責任者の馬暁明氏は、国内で相次ぐ集団抗議事件の起因は、国家政策問題がもたらした社会の不公平であると指摘した。転職先の企業業績不振により、賃金の支給さえ保障されないことから、特に年老いた退役軍人が最も不安であると示した。馬氏は、政府当局は即時に問題処理をせずに、互いに責任のなすり合いをしている現状では、さらなる多くの軍人幹部、農民、教員の抗議デモをもたらすと指摘した。
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