法輪功事案受けた弁護士、当局から監禁・拷問

2009/05/17 更新: 2009/05/17

【大紀元日本5月17日】法輪功学習者の死亡事案を引き受けたため、北京市在住の弁護士2人が警察に強制連行・拷問され負傷する事件が発生した。そのことは中国国内の法曹界に衝撃を与え、複数の弁護士が連名で全国弁護士協会に真相解明の嘆願書を提出した。

関係者の証言によると、66歳の江錫清さんは法輪功の修練を堅持するため、昨年5月13日、自宅で警察当局に不当に逮捕され、強制労働収容所に投獄された。今年1月28日、江錫清さんは獄中で急死した。家族が遺体と対面したとき、遺体の頭部、胸部、足は傷だらけだった。警察は死因を心筋梗塞と説明しているが、病院の遺体解剖では、左胸部の3本の肋骨が折れ、うっ血が溜まっていたのが明らかになった。また、家族によれば、死者の健康状態は極めて良好で、心臓病疾患はないという。

そのような状況において、遺族は遺体の火葬を固く拒否し、死因の究明を求め続けた。死後10日目の2月8日、警察当局は遺族の反対にもかかわらず強制的に遺体を火葬した。

遺族は死因を究明するため、法的訴訟を行おうと、北京市の張凱氏と李春富氏の両弁護士に法的援助を求めた。弁護士2人がそれを受理した。5月13日午後、2人は重慶市の依頼人の自宅に訪れ、状況説明を受けた。

その最中に、警官4人がスタンガンを手に依頼人の自宅に突入、その直後、20人あまりの警官と私服警官を呼び寄せ、弁護士2人を江津区公安局に強制連行した。そこで、2人は宙吊りされ、長時間の拷問を受け、翌日零時40分に解放された。二人の両腕はひどく腫れてケガをし、そのうちの一人は、めまいを訴え、片耳から出血した。依頼人の江宏さんも暴行され、手と足が負傷、遺族は現在、警察の監視下に置かれている。

この暴行事件は国内の法曹界に衝撃を与えた。多くの弁護士は抗議の声を上げ、弁護士5人がそれぞれ連名で、全国弁護士協会の会長に嘆願書を提出し、警察当局による暴力事件の真相を究明するよう求めた。

弁護士の江天勇氏は、「強制労働収容所で急死した法輪功学習者の死因を解明するため、その遺族は2人の弁護士に法的援助を依頼した。弁護士らはそれを引き受け、通常の弁護士業務を行っただけなのに、なぜ、現地の警察がそれほど慌てだしたのか」と問題を提起し、肋骨3本も折れた江錫清さんの死は正常な死亡ではない可能性が非常に高いことを指摘した。また、警察は弁護士の介入により、裏の真相が明らかになるのを恐れているため、集団暴力行為に走ったのではないかと分析した。

江錫清さんの妻も法輪功学習者であり、昨年同時期に不当に逮捕され、法輪功の修煉を放棄しないとの理由で8年の禁固刑を科せられ監禁されている。

法輪功は中国伝統の気功修練法であり、五式の気功動作が簡単で憶えやすく、「真・善・忍」に基づいてより良い人になることで心身の健全性を保てるとしている。無料で公開しており、その著しい健康効果により、中国国内で瞬く間に広がりをみせ、弾圧前の中国政府の内部調査では、国内では約1億人の愛好者がいた。体制内の幹部と共産党員も多く含まれている。10年前の1999年、中国当局は法輪功を反政府の非合法組織であると定め、弾圧を始めた。数十万人の法輪功学習者は修煉を放棄しないため、強制労働収容所に監禁され、氏名が確認されているだけでも3千人以上がは拷問により亡くなっているという。

(記者・顧暁華、翻訳編集・叶子)
関連特集: 国際